キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)とグループ会社のキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、愛媛県の採択を受け、カメラデバイスやセンサなどから取得した映像・環境データと音声コミュニケーションを活用し、農地の遠隔管理やノウハウの継承に課題を抱える農家を支援する実証実験2026年3月末まで行うと発表した。これにより、農作業の効率化と農作物の品質向上、収量の増加を促進するとともに、技術継承にも貢献していくという。
実証実験の概要
今回の取り組みは、愛媛県が主催する令和7年度デジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ2.0」の採択を受けて進める。
昨今、農業現場では人手不足や高齢化、作業の属人化によるノウハウの継承の難しさに加え、新規就農のハードルの高さなど、慢性的な課題が存在しており、キヤノンMJグループは同プロジェクトへの参加に先立ち、愛媛県の農業従事者へのヒアリングを実施。同社グループが強みとする映像ソリューション領域の技術と知見を生かして次世代へつなぎ、地域社会に貢献することを目指している。
実証実験は県内2カ所の農家で、バラ・里芋の露地栽培、トマトのハウス栽培を対象に映像・気象・土壌データをキヤノンITSの画像AI連携プラットフォーム「Bind Vision(バインドビジョン)」で可視化・蓄積する。
高画質な映像や画像により、遠隔地からでも農地や農作物の状況をリアルタイムで把握し、気象・土壌データなどの環境データの推移と組み合わせることで、育成状況に関するデータの振り返りを可能にする。
また、ウェアラブルカメラを活用し、現場の映像や音声を共有し、コミュニケーションを取ることで、遠隔地からの状況判断や作業指示を支援。これにより生産業務の効率化に加え、データの可視化を通じた技術継承や作業の平準化を支援し、農作物の品質向上と収量増加の促進を実証する。
今年度は遠隔での農地管理による業務効率化を推進し、農作物の出荷量増加や歩留まり率の改善、農業従事者の作業環境の改善に取り組む。また、愛媛県内の農家や有識者とともに定期的に勉強会を開催し、現場の声を反映しながらサービスの精度向上を図る。
来年度以降は、技術の汎用性を高め、まずは愛媛県内での展開拡大を進めていく予定。さらに、作業提案などを可能にするAIの導入を目指すとともに、コスト面の最適化を図ることで農家の費用負担軽減にも努めていく考えだ。
トライアングルエヒメ2.0は、愛媛県が県内の地域課題の解決を目的として実施するデジタル実装加速化プロジェクト。県内を実証フィールドとし、民間事業者(コンソーシアムを含む)から課題解決に向けた企画提案を募集している。
デジタル技術の導入や県内での横展開の可能性が高い提案を採択し、現地の事業者と連携してデジタルソリューションの実装と検証を行うというもの。今年度の新規採択プロジェクトには、過去最多となる481件の応募があり、キヤノンMJグループが提案する「高性能な映像を活用した農地の遠隔管理プロジェクト」を含む17件が採択されている。
