KDDIは8月19日、通信やロボットなどテクノロジーの導入を前提としたオフィスづくりと空間づくりを支援する「KDDI Smart Space Design」の提供を開始することを発表した。日本および東南アジアを中心とした国内外において展開する。
優秀な人材確保のためにも快適なオフィス空間構築が必要に
少子高齢化に伴う労働人口の減少などを背景に、生産性を向上するための環境が求められている。さらに近年では、ワークライフバランスの充実や有用な人材の確保など、企業が求められる課題は困難になりつつある。
これに対し、通信やロボット、AIなどのテクノロジーを活用したアプローチが試みられており、スマートビルの市場はグローバルでCAGR(Compound Annual Growth Rate:年平均成長率)24.4%、日本でも16.4%と、大きな成長が期待されている。
その一方で、企業がオフィスや商業施設などの新設、移転、改装をする場合、従来はコンセプト策定と設計が完了した後に通信事業者などに構築を依頼するため、「Wi-Fiを設置するための電気配線がない」「ロボットが動く動線が整っていない」「設計、構築・施工、保守・運用など工程を別会社に委託したため管理が煩雑」など、再設計や再工事といった手戻りが発生する例もある。
その結果として、コストの増加や納期の遅延、働く空間や訪れる空間へのテクノロジー導入を断念するケースなどが課題となっていた。
7月に本社オフィスを移転したKDDIは、社内でテクノロジーを基盤とした空間デザインを取り入れている。その例として、フリーアドレスにおける居場所の可視化や、ロボットを用いた郵便配送、ローソン商品の回遊販売などを実現した。こうした経験やノウハウを体系化し、新サービス「KDDI Smart Space Design」の提供を開始する。
コンセプト策定から運用までKDDIがサポート
今回提供を開始する「KDDI Smart Space Design」は、オフィスや倉庫、工場など働く空間と、商業施設や店舗、スタジアムなど人が訪れる空間の新設や移転などを検討する担当者がサービスの対象となる。コンセプト策定から設計、構築・施工、保守・運用を、KDDIが一気通貫で支援する。
コンセプト策定の段階から通信設備やロボットなどのテクノロジー導入を前提として働く空間・訪れる空間の構築を支援するため、作業手戻りの軽減が期待できる。また、コンセプトの策定からオフィスの保守・運用をKDDIが一気通貫で対応するため、作業管理の負荷軽減にもなるとのことだ。
具体的には、コンセプト策定の段階においては企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)や新規ビジネス創出を支援する実績を持つKDDI DIGITAL GATEや、ネットワークなどデジタル技術を中心とした空間コンサルティングを手掛けるKDDIデジタルデザインが、顧客の実現したい働く空間・訪れる空間のニーズや解決したい課題を明確化する。
設計、構築・施工段階では、一級建築士を抱え通信設備などインフラ構築を手掛けるKDDIエンジニアリングが、コンセントに基づいてネットワークとテクノロジーの導入を考慮した設計とソリューション選定を実施する。
さらに、保守・運用の段階では、グループ会社であるアルティウスリンクのリソースを活用して、オフィス執務室や商業施設内に設置されたロボットの定期メンテナンス、会議室予約や入館登録を代行するコンシェルジュの派遣といったBPOサービスを提供する。
同様に、防犯カメラなどの物理的セキュリティ機器のほか、ネットワークに対するセキュリティサービスなどをLACが提供する。なお、防犯カメラはセキュリティとしての用途に加えて、秘匿性を考慮した行動データの分析を実施し、オフィスや店舗レイアウトの改善提案にも活用する予定。
ただし、すべてのサービスをKDDIグループの企業が対応するのではなく、パートナー企業とも連携しながらサービスを拡大する方針だ。
KDDI 執行役員の那谷雅敏氏は、「すでに58社のパートナー企業とサービス提供に向けて動きだしている。今後もパートナーを拡大し、新しい空間デザインを実現していきたい」と展望を示した。
また、同氏によると、同サービスをKDDIグループのグローバル拠点にも展開し、2028年度に800億円の売上高を目指すとのことだ。
オフィスレイアウトを自動生成するAIを2026年度に無償公開
同社はサービスの一環として、マルチベンダーでオフィス機器の選定やゾーニング・レイアウト・見積りなどを自動生成するAIツールを2026年度に無償提供開始する。総務部などオフィス空間の設計を担当するものの専門知識を持たない人が、主な対象だ。
このツールは、執務室や会議室の数、固定席数、フリーアドレスの場合は想定される出社率など、オフィス設計に必要な数値を入力することで、AIがレイアウトを設計するというもの。通常は建築士やデザイナーなどと打ち合わせし約1カ月が必要な工程を、最短15分で完了できるとのことだ。
生成されたデータは2Dで全体を俯瞰できるだけでなく、3Dデータとしてレイアウトを確認できるため、オフィス空間完成後のイメージを明確に把握できる。さらに、一般的な面積と概算費用とも比較し検討できるため、オフィス新設・移転の妥当性も確認できるという。











