竹田健康財団とNTTドコモビジネス(旧 NTTコミュニケーションズ)は7月30日、日本の地域社会が抱える高齢化の進行や高齢者の孤立、医療提供における地域格差といった課題に対し、地域住民のウェルビーイング向上に貢献することを目的に、プラットフォームの構築や生成AIを活用した高齢者のコミュニティづくりなどを通じた実証実験を開始することを発表した。

実証実験の背景

日本全体で進む高齢化は、特に地方において深刻な課題となっている。地域における高齢者の孤立、生活インフラへのアクセスの困難さ、そして生産年齢人口が減少する中での医療介護提供体制の維持のためには、医療従事者数の確保と働き方改革が必要だ。

竹田健康財団は、地域の中核病院である竹田綜合病院を中心に、住民の健康を支える重要な役割を担っている。一方のNTTドコモビジネスは通信技術や生成AIを含むデジタルソリューションの提供を通じて、社会課題の解決を支援してきた。

今回の実証実験は「家から出られなくても孤独にならない仕組み」の構築を最優先テーマとし、高齢化が進む福島県会津若松市において、高齢者のコミュニケーションの維持・促進を図る。

さらに、介護予防をはじめとした生活支援サービスの拡充を通じて、健康寿命の延伸を目指す。また、単なる情報配信にとどまらず、地域の高齢者の日常に自然に溶け込み、継続的に利用されるAIを活用した地域コミュニティプラットフォームを構築する。

  • 実証実験の概要図

    実証実験の概要図

実証実験の概要

両者は今回の実証実験で、STEP1とSTEP2を通じて、地域住民同士の日常的なコミュニケーションを維持・促進するためのAIを活用した地域コミュニティプラットフォームを整備する。

STEP1では地域コミュニケーション活性化のためのプラットフォーム構築と、介護予防に向けたバイタルデータの活用を進める予定。

地域コミュニケーション活性化のためのプラットフォーム構築においては、チカクが開発してNTTドコモが提供するビデオ通話サービス「ちかく」を活用し、地域住民が気軽に交流できる井戸端会議をオンラインで実現。自宅にいながら地域コミュニティに参加できる仕組みを構築し、社会参加を促進する。

介護予防に向けたバイタルデータの活用では、ウェアラブルウォッチなどから取得されるバイタルデータを活用し、見守り機能や健康管理支援の実証を進める。写真共有や自宅のテレビ画面への投影など、日常的に使いやすい機能を組み合わせることで、デジタルツールへの抵抗感を軽減するとともに継続的な健康データの取得を目指す。

STEP2では医療・介護分野や自治体との連携を強化し、ICTツールの活用を促進する予定。