マイクロソフトの会長兼CEOであるSatya Nadella氏は7月24日(米国時間)、全社員に向けて新会計年度の開始に際するメッセージを送った。彼は冒頭で、最近実施した人員削減について率直に語り、影響を受けた社員に深く感謝した。
Microsoftは業績が好調ながらもリストラを行った矛盾について触れ、テクノロジー業界の本質である「非連続的な進化」に向き合う姿勢を示した。
非連続の進化を受け入れるMicrosoftの覚悟
Nadella氏は今後の成功を「学び直し」と「新たな学び」にかかっているとし、従来のビジネスモデルを維持しつつも、新たな分野や仕組みを創造する必要性を強調した。同氏は、この2つを同時に成し遂げるのは難しいが、Microsoftにはその力があると信じていると述べた。変化の中にこそ機会があり、社員一人一人がその変革をけん引できることを伝えた。
Microsoftの使命、すなわち「すべての人と組織により多くのことを成し遂げる力を与える」というビジョンについて、Nadella氏はAI時代における再定義が必要だと語った。AIを用いて誰もが独自のツールを構築できる環境を提供することが、これからのマイクロソフトの使命であると明言した。世界中の人々が、研究者や分析官、コーディングエージェントを瞬時に利用できる未来を描き、その可能性を実現することが企業の社会的価値だと訴えている。
重点戦略の三本柱「セキュリティ、品質、AI変革」
続いてMicrosoftの重点戦略について触れ、セキュリティ、品質、AI変革の三本柱を明確にした。Nadella氏は、セキュリティと品質を「絶対条件」とし、同時にAIにおける基盤技術の構築と統合に注力すると述べた。プラットフォームとプロダクトを一体化し、業界をけん引する体制を整えることが将来の成否を決めると主張した。
最後に、Microsoftの文化として成長志向のマインドセットを持ち続けることの重要性を説いた。社員一人一人が日々学び、成長する姿勢を持つことで、チーム全体としても柔軟な変化と創造を可能にするという。AIによるパラダイムシフトの中で、新しい働き方と価値創造のスタイルを共に築くことが、今後のマイクロソフトの核心であると結んだ。
Microsoftの業績は好調だ。にもかかわらず大規模レイオフを実施した背景には、組織再編とAI戦略の推進があると見られている。Microsoftの規模の企業はしばしば大規模なレイオフを行い、業務改善や組織改善を行うことがある。AI推進を目的とした今回のMicrosoftの動きはほかの大企業にも発生する可能性があり、今後の動向が注目される。