
「物言う株主」・アクティビストからの企業防衛策講じる
フジ・メディア・ホールディングス(HD)は、旧村上ファンドを率いた村上世彰氏の長女、野村絢氏らが同社の株を急速に買い増していることを受け、対抗措置を設ける方針を発表した。
今年2月から7月までの間に、村上氏側と同社取締役らは複数回面談しており、その中で村上氏は同社株を33.3%取得する可能性を示唆した。7月3日時点で、村上氏側の保有比率は16・32%まで上昇している。株保有比率が高まれば経営判断に実質的な影響力を有する立場になりかねないため、これを阻止するための方針を決めた。
具体的な対抗措置として、特定株主による議決権比率が20%以上となる株の買い付けに対して、60日前までにその買い付けの趣旨を書簡で求めることにする。また、他の株主に新株予約権の無償割り当てを行い、ファンド側の保有割合を下げることで影響力が及ばないようにする。
同社は放送法に基づく認定放送法持株会社であり、特定の株主が3分の1以上の株式を保有することはできない。
「物言う株主」の影響力が強くなり、経営を実質的に支配するということが起これば、事業の公共性の高さが脅かされ、企業価値の低下につながりかねない。同社が築いてきた企業や視聴者、ステークホルダーとの信頼が崩れる可能性もある。
儲け主義で株投資を行うファンドにどう立ち向かうか――。昨今、こうした問題から距離を置くため、ベネッセHDや大正製薬HD、永谷園HDなど大企業のMBO(経営陣が参加する買収)も増加している。
経営をかき乱す存在から、いかに身を守りながら経営体制を固めるか。清水賢治社長新体制で、1つ1つ着実な経営の軌道修正が続くことになりそうだ。