YOKUMIRU代表取締役・原翔平が語る「海外で日本人医師とつながる『オンライン医療相談サービス』」

当社が展開する「YOKUMIRU」は、海外にいる日本人と、日本人医師を結ぶ「オンライン医療相談サービス」です。現在約400名の日本人医師のご協力を得ていますが、その3割ほどが日本在住、7割が海外に在住しています。現地のことをよく知る日本人医師に相談ができることで、お客様の課題解決につながるサービスになっていると考えています。

 欧米では「ホームドクター」という日本のかかりつけ医のような制度がありますが、医師不足もあって新たに見つけるのが難しいという現実があります。

 1人の医師が多くの患者さんを抱え過ぎている上に、それが都市部に集中しています。そのため、ホームドクターに診てもらうために長時間かけて地方に行かなければいけないといった事例も出ています。これから海外に渡航しようという日本人にとって大きな課題となっているのです。

 他にも、現地の言葉でのコミュニケーションが難しかったり、医療費が高騰していたりといった問題もあります。しかも、ホームドクターが行うのは市販薬のアドバイスであることが多いのです。これらは、当社のサービスで解決できることもあり、認知度が高まってきています。

 また、海外に在住している日本人にとって、もう1つ大きな課題となっているのは「メンタル」の問題です。企業の人事で海外に赴任された方の自殺率は国内よりも高いそうです。

 今、多くの企業が「健康経営」を掲げています。国も従業員数50人以上の事業場に対して、ストレスチェックの実施を義務付けていますが、海外赴任者に対してはルール外になってしまっている企業が多いのが現状です。

 こうなると、企業にとっては海外赴任者がメンタルに不調を来した場合、安全配慮義務に違反したとして訴えられてしまうというリスクがあります。実際、企業側に損害賠償を命じる判決も出ています。ですから今、安全配慮義務にある「健康管理」の一環として当社のサービスをご利用される法人のお客様も増えてきています。

 健康管理のポイントは、従業員自身が、自らの健康状態を客観的に把握していることが大事です。そして、客観的に把握したデータを向上させるというメンタリティを増進することが必要になります。

 そこで当社では、健康管理から医療相談まで一気通貫でサポートするサービスを構築しています。アプリを通じて、健康、メンタル、睡眠の状態について回答してもらうとスコアが出るようになっています。そこで問題が見つかった場合には健康・医療相談を促す仕組みです。

 企業に対しては、従業員のスコア、その結果、何人の方が相談をしたかというエビデンスのあるデータを提供し、人事面で活用してもらっています。

 参加している医師の方々にもご好評を得ています。以前、日本遠隔医療学会学術大会で医師が当社のサービスの参加理由などについて発表したのですが、参加の理由として最も多かったのが「社会貢献」でした。

 次いで「スキルの維持」でした。これは医療の変化とも関係しています。今は「オンライン診療」も進みつつあり、どこにいても患者さんを診ることができる環境が整ってきています。オンラインを通じて、これまで以上に患者さんの声を「聴く」ことが求められており、医師の方々も意識しているのです。

 今後も患者さんと医師をつなぐ存在でありたいと思います。