AcompanyとKDDIは7月16日、ユーザーの個人情報や位置情報を含むビッグデータをより安全かつ高度に活用するための技術開発と提供に向けた提携を開始することを発表した。暗号化データを計算可能とする技術により、AIを用いた高度なデータ活用とプライバシー保護を両立するという。

提携の背景

近年は金融やヘルスケア、教育、マーケティング領域などのビジネスへのAI導入が進み、顧客の属性情報や購買履歴、移動情報などの有用性が高まっている。しかし、幅広いデータ利用には適正なプライバシー保護が求められるほか、サイバー攻撃による個人情報の漏えいやプライバシー侵害などの課題も顕在化している。

Acompanyはデータの計算過程を秘匿化しつつ高度な分析を可能とする秘密計算技術を提供しており、サイバー攻撃などによるリスク低減を支援する。両社は2023年から秘密計算技術を軸に、複数の企業間でセキュアかつ個人情報保護法に配慮したデータ共有と活用を実現する仕組みとしてデータクリーンルームを開発しており、2025年3月に商用化した。

両社は今回の提携により、複数企業間での秘匿化されたデータ連携の進展と安心・安全なAI技術の活用に取り組む。

データ活用における安全性向上のためのプライバシー保護技術

秘密計算を中心としたセキュリティ技術とプライバシーおよびAIガバナンスに専門性を持つAcompanyと、通信や金融などさまざまなサービスに関するビッグデータとAIモデル開発力を有するKDDIが協働し、より安全にデータを活用するプライバシー保護技術の開発と、それらを活用したAIやLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)の構築を目指す。

複数の企業間での安全なデータ活用を求める国内外の企業に対し、秘匿化されたデータ連携技術を提供することで幅広い課題解決や価値創造を支援する。

プライバシーガバナンス強化と浸透に向けた取り組み

AI技術の急速な進展に伴いプライバシー保護の潮流やユースケース調査に基づく適正対応が不可欠であることから、Acompanyのプライバシーガバナンスの専門性を取り入れ、KDDIグループ全体でプライバシー保護のさらなるガバナンス強化を進める。

また、Acompanyが事務局を務めるプライバシーテック協会の活動を通じ、プライバシーテックがもたらす利点を広く普及し、安心かつ安全にデータが利用される未来社会の実現に貢献する。