日鉄興和不動産の「虎ノ門アルセアタワー」 ホンダなど入居で内定率9割超

デッキの設置で歩きやすい街に

 東京・虎ノ門エリアが「デッキ」でつながる街に――。

 都市再生機構などの地権者が進めてきた「虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業」では、虎の門病院、国立印刷局、共同通信会館の一体的再開発を進めてきた。そのうち、2019年には国立印刷局跡地に新たな虎の門病院が竣工。25年2月には、この再開発の保留床取得者である日鉄興和不動産が手掛けたオフィス棟「虎ノ門アルセアタワー」が竣工した。

 虎ノ門アルセアタワーは地上38階で高さは約180メートル。「アルセア」は江戸時代にこの地に群生していた植物「タチアオイ」に由来する。

 立地は東京メトロ銀座線「虎ノ門駅」から徒歩3分、同日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」徒歩3分。4駅5路線を利用できる。

 虎ノ門病院との一体開発であるため、災害時には連携。屋上に防災ヘリポートを設置し、傷病者を受け入れて、虎の門病院に搬送する。また、エントランスやカンファレンス施設では、帰宅困難者や怪我人など約1500人を受け入れることも可能。

 また、このビルは、虎ノ門エリアの「歩行者ネットワーク」の向上にも寄与している。このエリアは高低差などもあり、歩きにくいという課題があったが、ペデストリアンデッキを設置し、虎ノ門駅、虎ノ門ヒルズ駅、溜池山王駅、ホテルオークラなどへ徒歩で行きやすくなっている。

 気になるオフィスの内定率は「9割超」(日鉄興和不動産都市事業本部ビル事業第3部・佐藤博之氏)。すでにホンダの本社が入居した他、SOMPOホールディングスも本社機能を移す。

 東京の都市間競争が激しさを増す中、選ばれる地域になるためには、それまでにない利便性の確保も求められる。