独自のゴム技術を活かしてタイヤやスポーツ製品、産業品事業を展開する住友ゴム工業が全社的な業務標準化にAIによるマニュアル作成自動化を導入する。基本業務の根幹をなす作業手順書がぶれはじめると、標準化された教育の実施や、ノウハウの継承が崩れる。どこの会社にでも起こりうる問題で、軽視されがちな部分でもある。同社はここを大きく改善させる。従来ExcelやWordで作成していた作業手順書には、フォーマットやクオリティのばらつきがあり、課題となっていたという同社。作業手順書は存在するが、実際の教育現場ではOJT(On the Job Training)に頼る傾向があったそうだ。

2024年2月にマニュアル作成・共有システム「Teachme Biz」を導入し、2025年2月にはAI機能「Teachme AI」の追加契約を実施。同社ダンロップブランドをはじめとしたタイヤの製造工程、各種設備の操作方法、管理手順など業務手順の共有やゴルフボール、ゴルフクラブ、テニスラケットの製造の手順書と主力製品のマニュアル根幹部分から研究開発部門での実験手順書まで全社的な業務標準化と効率化を進めている。

  • 住友ゴム工業における「Teachme Biz」活用の様子(スタディスト資料より)

Teachme Bizを提供するスタディストによれば、シェアやセキュリティ面などの評価に加え、「Teachme AI」などAIを活用したマニュアル作成の自動化機能が利用拡大へと繋がっているという。今後は、同社研究部門において2026年秋までに約400件のマニュアルをTeachme Bizへ移行、全研究部門でのマニュアル標準化。生産本部では3年以内に既存マニュアルのすべてを移行させる目標を掲げている。

住友ゴム工業 研究開発本部 研究企画部部長 野尻 和紀氏は、「今後は国内外の拠点にも展開し、"わからないことがあればTeachme Bizを開く"という文化を根付かせ、全社的なナレッジ基盤の構築を目指します」と述べる。写真や動画を使って手軽に実践的なマニュアルを量産できる特徴を持つ「Teachme Biz」は、データ活用という点でもAIとの親和性も高くなる。何を標準とし、何をイレギュラーとするかの重要な境目を構築する業務標準化だが、同社では全社的な業務標準化を目指し改革を推進する構えだ。

  • 写真や動画を使って手軽にマニュアルを量産でき、携帯しやすいスマホやタブレットで実践的な活用が行える(スタディスト資料より)