ソニーグループは、革新的な先端技術の研究開発を促進する「Sony Research Award Program」(ソニー・リサーチアワードプログラム)の公募を7月15日に開始。同グループの10年後にありたい姿を描いた長期ビジョン“Creative Entertainment Vision”の推進に向けた技術を中心に、多様な研究提案を募集する。

  • ソニーグループ、AI含む先端技術の研究提案を公募開始

ソニーは、世界中の大学・研究機関とのパートナーシップを通じて研究開発を発展させ、イノベーションを促進することをめざしている。今回のプログラムはその一環として、北米・欧州・インドの大学や政府系研究機関、非営利組織の研究機関を対象に、将来の技術革新につながる研究提案を募集するもの。

欧州については、イギリス、オーストリア、オランダ、スイス、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルグ、アイルランド、イタリア、スペイン、ノルウェー、フィンランド、フランス、ポルトガル、ポーランドの17カ国が対象となる。

同プログラムは、「Faculty Innovation Award」(ファカルティ・イノベーションアワード)と「Focused Research Award」(フォーカストリサーチアワード)のふたつの賞で構成。最先端の研究に取り組む新たな機会を創出し、画期的な技術の導入を図るため、各受賞者には、ソニーグループの多様な研究開発組織との協業を前提に研究資金を提供する。いずれも提供期間は1年間としているが、延長の可能性も含むとのこと。

Faculty Innovation Award

ソニーの主要な研究領域に関連する研究提案を募集・採択し、1年間で最大10万ドルを提供。情報技術、デバイス、エンタテインメントの3分野において、AIを含む多様なテーマを設ける。

Focused Research Award

ソニーが現在関心を持つテーマに焦点を絞って研究提案を募集・採択し、1年間で最大15万ドルを提供する。2025年は「クリエイターの創造性を解き放ち、新たな価値の創出につながるAI技術」を中心に、11テーマを設けた。

2023年Award受賞者 米カーネギーメロン大学 Laurie Heller教授のコメント

ソニーの支援のもと、私たちの研究チームは機械学習や大規模言語モデルを活用し、さまざまな環境音をより自然に補間する方法を模索しています。この研究は、クリエイティブアートやサウンドデザイン、さらには音の分類に関する科学的研究にも役立つものです。また、音の分類における視覚言語モデルの活用についても探っています。ソニーは私たちに専門知識やリソースを提供してくれており、その支援を通じて、多様な分野で応用可能な音の生成技術の発展を目指しています。

2022年・2023年Award受賞者 英リバプール大学 Alan Marshall教授のコメント

過去2回にわたるSony Research Award Programを通じた協業は、私たちの研究に大きな変革をもたらしました。これらの機会により、多感覚を活用した没入感への新しいアプローチを開発し、嗅覚に加え触覚や聴覚、視覚といった従来の感覚チャネルと組み合わせた研究を進めることができました。特に、ソニーの技術者との密接な連携が新たな発想や可能性を広げることにつながっています。これらの協業を通じて、次世代のメタバースで求められる多感覚環境における没入感や臨場感を実現し、それを測定する方法の研究が加速しています。