インターネットイニシアティブ(IIJ)は7月11日、2023年度から参画している愛媛県の地域課題解決事業「愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト」に、2025年度も採択されたと発表した。これで3年連続の採択となり、今年度は中晩柑とサトイモを対象にスマート農業の実装を通じた品質と収量の安定化を図る。

  • みかん畑に設置した土壌水分センサーの送信部

    みかん畑に設置した土壌水分センサーの送信部。2024年9月17日付報道発表資料「IIJ、愛媛県でみかん・サトイモ・アボカドの収量向上を目指しスマート農業実装検証」より

2025年度は中晩柑とサトイモの収量向上に取り組む

同プロジェクトでは2024年度、真穴共選のみかん畑にLoRaWANネットワークと120台の土壌水分センサーによるデータ分析基盤を導入。土壌水分の可視化と灌水指標の提示により増収を実現したほか、サトイモやアボカド、レモンへの展開を通じてユースケースの拡大を図った。

2025年度は、松山市青年農業者連絡協議会北条支部(HAPP)が実装先となり、「せとか」「紅まどんな」「甘平」などの中晩柑(ちゅうばんかん:1月から5月ごろに収穫される、温州みかん以外の柑橘の総称)を対象に、土壌水分や気象データを活用した潅水制御に取り組む。

北条地区にはLoRaWANによる通信網を構築し、約50台の土壌・気象センサーを設置。収集したデータをもとに、収量と品質の安定化を図る最適な潅水モデルの構築を目指す。特に中晩柑では、サイズと糖度の両立による収益性の向上が期待されている。

一方、サトイモについては、昨年度に続き中温およびJAおちいまばりの協力のもと、西条市丹原地区と今治市朝倉地区で水ポテンシャルセンサーとLoRaWANを活用し、土壌水分の精密なモニタリングを継続。中温では新たに点滴灌水設備を導入し、「少量多灌水」による品質・収量の安定化に取り組む。これは愛媛県におけるサトイモ栽培で初の試みだという。

IIJは、こうした取り組みを通じて、愛媛県内におけるデータ活用型スマート農業の普及と横展開可能なモデルの構築を目指すとしている。