AI開発プラットフォームの米Hugging Faceは7月9日(現地時間)、小型のオープンソース・ロボット「Reachy Mini」の予約販売を開始した。299ドルからという手頃な価格で、AI開発者や教育者、ホビイストまで、幅広い層がAIとロボット工学の世界に触れる機会を提供する。「最新のAIモデルを用いて、デスクの上で現実世界のAIアプリケーションを開発、テスト、デプロイ、共有できる」としている。
過去2年の大規模言語モデル(LLM)の進展によってAIの普及が進み、AI業界が次のフロンティアとして取り組み始めているのが「フィジカルAI」である。AI技術を物理的なロボットや装置に組み込むことで、人間のように現実世界で行動・作業を行うことができるシステムや技術を指す。このAIロボットの機会をより多くの人々にもたらし、その発展を加速させるには、適切なハードウェアが不可欠である。今年5月、Hugging Faceは「AIビルダーのためのオープンソースロボット」として、フルサイズのヒューマノイドロボット「HopeJR」とデスクトップロボット「Reachy Mini」を公表した。
Reachy Miniは、高さ28cm (スリープモード時は約23cm)、幅16cm、重量1.5kgで、以下の2種類がある。
- Reachy Mini Lite: 299ドル。動作にはPCなどの外部コンピュータとの接続が必要。
- Reachy Mini (Wireless): 449ドル。小型コンピュータ「Raspberry Pi 5」を内蔵し、バッテリー駆動でワイヤレスでの利用が可能。
マイク、スピーカー、広角カメラ、加速度計(Wirelessのみ)を搭載。6DoF (前後・左右・上下の移動と、3軸の回転)の頭部可動、全身回転が可能である。Lite版は8月から、Wireless版は秋以降に順次出荷予定である。製品は組み立てキットとして提供され、ユーザー自身の手でロボットを組み上げる体験もできる。
Hugging Faceは、AIモデルやデータセットを公開・共有するためのプラットフォームで、その仕組みから「AI界のGitHub」とも呼ばれる。誰もが自由にアクセスし、改良できるオープンソースの思想を重視しており、Reachy Miniでも、ソフトウェア、ハードウェアの設計情報、シミュレーション環境に至るまですべてがオープンソースとして公開される。
Reachy Mini向けに15種類以上の動作サンプルを提供されるので、ユーザーはHugging Face Hubから導入してすぐに試すことができる。
Reachy MiniはPythonでプログラミングでき、将来的にはJavaScriptやScratchもサポートされる予定となっている。AIモデルと同様に、Reachy-Miniコミュニティにより、音声認識や画像認識、対話AIといった様々なロボット向け技術やソリューションが、Hugging Face Hubを通じて活発に公開・共有されると期待される。