スペースデータとMS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険(三井住友海上)は7月9日、宇宙技術およびデジタルツイン技術と保険を活用した新たな価値創出に向け、包括連携協定を締結し協業を開始することを発表した。
デジタルツインによる宇宙保険の強化を目指し協業
宇宙産業の発展により、衛星通信や宇宙旅行、宇宙ステーションなど、宇宙空間での多様な事業活動が加速している。しかしこうした活動に伴い、地上とは異なる環境要因や不確実性によるリスクが懸念されており、保険の設計やリスクアセスメントにも高度な専門性が求められるという。
宇宙を「民主化」することを目指すスペースデータは、これらの課題に対応する手段の1つとして“デジタルツイン”を挙げる。現実の宇宙環境や機器の挙動を仮想空間上で再現したデジタルツインを構築することで、実証的なリスクの評価・予測が可能となり、より精緻な保険設計やマネジメントが実現されるとする。
同社はそうした背景から、人工衛星打ち上げなどの際に加入する「宇宙保険」を提供する三井住友海上との間で、相互の連携を強化し、宇宙や仮想化空間の技術と保険を用いた協業の検討を目的とした連携を開始することで合意し、包括連携協定の締結に至ったとのこと。なお今回の協業では、主に以下3点において連携を深めるという。
今回の協業による主な連携事項
- 保険商品、保険の補償前後のサービス、保険業務効率化などに資する仮想化技術の利活用に関する事項
- 宇宙事業に伴う各種リスクのアセスメントとマネジメントに関する事項
- 宇宙事業のリスクを移転する各種保険に関する事項
両社は今後、定期的な協議を重ねながら、具体的な実証プロジェクトの推進と実務連携を進めていく予定だとしており、将来的には、リスクマネジメントとテクノロジーの融合による社会課題解決と新市場開拓を目指すとしている。