三井住友FGとSBIが新会社 「デジタル富裕層」獲得へ

リアルとデジタルの融合で

 「デジタル時代にふさわしい、新しい資産運用サービスは不可欠」─こう話すのは、三井住友フィナンシャルグループ社長の中島達氏。

 2025年6月16日、三井住友FGとSBIホールディングスは、新たな資産運用サービスを提供するための新会社を設立すると発表した。25年7月にも準備会社を設立する。

 出資比率は三井住友FG、SMBC日興証券、三井住友銀行で計6割、SBIHD、SBI証券が計4割で、当初は100名規模でスタート。「3年で黒字化、5年で税前利益100億円が目標」と中島氏。

 両グループは22年6月に資本業務提携し、三井住友FGはSBIHD株の約9%を保有。23年からは三井住友FGが提供する個人向け金融総合アプリ「Olive」内で、SBI証券がサービスを提供している。

 今回は、その提携をさらに深化させるもの。「Olive」の中で最上位に位置する決済・資産運用サービス「OliveInfinite」を26年春から提供開始する予定。

 Visaが提供する最高ランクの決済サービスを日本で初めて採用する他、SBI証券のネット証券機能と、SMBC日興証券、三井住友銀行のアドバイザーによる有人コンサルティング機能を融合した「フレキシブルコンサルティング」を提供。

 主なターゲットとするのは「デジタル富裕層」。40代から60代で一定の資産を持ち、日常的にスマートフォンを使いこなし、通常の取引はネットを活用しているが、時にはリアルでプロのアドバイスを欲する─といった層を想定。

 SBIHD会長兼社長の北尾吉孝氏は、これまでの提携で「Oliveのアカウントが増えると、金融商品仲介契約が増えるという好循環になっている」と評価。NTT、NTTドコモとの提携を含め、「アライアンスは新たなステージに入った。高度かつパーソナライズされた提案を進めていく」と語った。

 デジタル領域では、みずほFGが楽天グループと提携、三菱UFJFGが自前のサービスプラットフォームづくりを進めるなど3メガの争奪戦が激しさを増している。