LINE WORKSは6月10日、ビジネスカンファレンス「LINE WORKS DAY 20250」を開催した。今年のテーマは「GO NEXT!」。同社は今年で創立10周年を迎えるということで、テーマには次の船出に向けた想いが込められている。

代表取締役社長の島岡岳史氏はKEYNOTEで何を語ったのだろうか。本稿では、KEYNOTEの模様をお届けする。

  • LINE WORKS 代表取締役社長 島岡岳史氏

LINE WORKS10年の歩み

初めに、島岡氏は同社の10年を振り返った。2015年にWORKS MOBILE JAPANとして設立し、翌年にアプリケーション「WORKS MOBILE」の提供を開始した。2017年には、同アプリの名称をLINE WORKSに変更。

2021年11月にはARR100億円を達成し、2023年にLINEのAI事業であるLINE CLOVAと統合。2024年1月にLINE WORKSへ社名を変更した。

2024年は製品において大きな動きが続いた。5月にサービスロゴとアプリアイコンを変更したことを皮切りに、11月には「LINE WORKS AiNote」と「LINE WORKSラジャー」の提供が開始された。

LINE WORKS AiNoteは、AIを活用した音声記録管理サービスとして提供されていた「CLOVA Note」をBtoB向けにリニューアルしたものだ。LINE WORKSラジャーはスマートフォンを活用したトランシーバーアプリだ。

さらに、今年4月に、本社を渋谷のサクラステージに移転した。

10年、20年を見越して新たなステップを

続いて、島岡氏はカンファレンスのテーマ「GO NEXT!」について語った。

「創業から10年、今までのビジネスはビジネスチャットが中心でした。ですが、去年からAI製品の提供を始めており、みなさんに利用してもらうための活動をしています。『GO NEXT!』には、これからの10年、20年を見越しての想いを込めています」

LINE WORKSのサービス利用者数は今年初めに520万人を達成したという。利用者数の数え方は会社によって異なるが、同社は1年間にトランザクションがあった人を数えているとのこと。

島岡氏は、「LINE WORKSは中小企業向けのサービスと言われていますが、お客様の3分の1は大手企業です。LINE WORKSは教育を行うことなく、ITリテラシーが低い人でも使ってもらえる点が強みです。だから、現場の最前線で使っていただいています」と述べた。

具体的には、同社は大阪市や長崎県など複数の自治体と協定を結んでおり、社会のインフラとして使われるようになってきたという。

アセット、知識、エンジニアを集結してAI開発に注力

同社は現在、6つの製品を提供しているが、昨今のAIブームも踏まえると、LINE WORKS AiNoteの注目度が高いといえる。同製品は100万ユーザーを突破したという。島岡氏は、同製品の特長について、次のように語った。

「現在、いろんなAI議事録が販売されていますが、『音声は差がないよね』とのことで、要約機能を開発しました。LINE WORKS AiNoteの要約機能は、内容に応じて、要約する範囲を決められます。私たちはニーズに応じて機能開発を行っています」

LINE WORKS AiNoteではワンクリックでAIによる要約が可能なほか、Microsoft TeamsやZoomといったWeb会議とも連携できる。

  • LINE WORKSが提供している製品

また、島岡氏はAIへの取り組みに言及した。「お客様から、『LINE WORKSはAIに対しどこまで本気なの』と聞かれますが、AIには昔から取り組んでいます。2017年に、音声認識の領域でCLOVA Noteをリリースしたことに始まり、OCR機能も提供を開始しました。これからもAI製品に力を注ぎます」(同氏)

さらに、島岡氏は「当社には、音声、画像、動画すべてにわたるAIのアセットと知識、開発ノウハウがあります。さらに、グループ会社含めるとエンジニアが数千いるので、これらを集結して新しい製品を開発します」と、AI製品を開発する上でのリソースが十分にあることをアピールした。

  • 今後のLINE WORKSのAI展開

使いやすい製品の提供で「はたらく」を支える

同日、ミッション・ビジョン・バリューの刷新が発表された。新しいミッション・ビジョン・バリューは以下の通り。

  • 新しいミッション・ビジョン・バリュー

島岡氏は、「これまではコミュニケーションツールを販売する会社だった ので、日本全国都道府県をバリューに掲げていました。これからも仕事の楽しさを届けることには変わりませんが、コミュニケーションにとどまらない価値を日本からグローバルに届けたいと考えています」と、新たなミッション・ビジョン・バリューに込められている想いを語った。

また、島岡氏は「仕事の現場、フロントラインで製品を活用してもらうとなると、使い勝手がよくないといけません。だから、使い勝手にとことんこだわります。『操作がシンプル、わかりやすい」の実現により、活用しやすいを目指します」と述べた。

さらに、「現場のアナログ業務はまだたくさんあるので、より使いやすい製品を届けることで、現場をデジタルで支えたいと考えています。LINE WORKSの製品だったら安心と思ってもらえる製品を出していきたい」と語った島岡氏。

他のテクノロジーと比べて圧倒的なスピードで進化しているAI。同社がAIを活用することで、製品がどのように変化し、私たちの「はたらく」を明るくしてくれるのか、期待したい。