KDDIとGEOTRAは6月30日、リテール業界向けの店舗開発ソリューションとして「実勢商圏」を共同開発したことを発表した。KDDIは「KDDI Retail Data Consulting」の新メニューとして、GEOTRAは新サービスとして提供を開始する。
新機能提供開始の背景
従来の商圏把握分析では、円商圏(ある地点を中心として半径の距離で示した範囲)や到達圏(ある地点から指定した距離や時間で到達可能な範囲)を用いる手法が一般的とされる。しかしこれらの方法では実際の消費者の行動範囲や競合の影響が十分に考慮できず、商圏の実態を把握できない課題がある。
「実勢商圏」の概要
「実勢商圏」はKDDIが保有するGPS位置情報データに基づく来訪実績と、GEOTRAの人流モデリング技術を組み合わせて、実勢の利用圏に関する商圏情報を提供する。消費者の行動情報を反映した商圏情報に基づき、新店舗の出店候補地を検討できるようになる。
また、全国のチェーン店情報も組み込まれており、競合店舗の影響を考慮した商圏分析や売上予測も支援するという。
想定活用シーン
新規出店の候補地選定では、競合店舗や周辺施設の実勢商圏を詳細に把握し、繁華街やオフィス街などのエリア特性を考慮して商圏を推定する。例えば、過去の出店実績や競合店舗の重複商圏を可視化することで、出店余地エリアの特定精度が向上し、売上予測の信頼性が高まる。
店舗移転の候補地選定では、既存店舗の実勢商圏を把握し、自店舗顧客の居住エリアを分析する。既存顧客の流出を最小限に抑えながら新規顧客の獲得を最大化できる、適切な出店場所を特定できるとのことだ。
既存店舗の課題抽出と販促施策の検討においては、既存店舗周辺の実勢商圏を把握し、競合店舗の出店や地域の変化が顧客行動に与えた影響を可視化。「競合出店後の顧客流動の変化」や「商圏内の新たな需要の創出」などの詳細なインサイトを獲得できる。
また、自店舗と競合店舗の実勢商圏を比較分析することで、商圏の空白地帯や競合店舗の商圏内にターゲットを絞ったプロモーション展開も可能だとしている。