Scale AIのCEOなど、AI人材の引き抜きを急ピッチで進めるMetaがOpenAIから人材を引き抜いたようだ。Metaが今回OpenAIから引き抜いたとされるのは、Lucas Beyer氏、Alexander Kolesnikov氏、Xiaohua Zhai氏。3人は2024年後半にOpenAIのスイス・チューリッヒオフィスを立ち上げに関わっており、それ以前はGoogle DeepMindに勤務していたという。

AIモデルの“超知能”レベルを目指し「Superintelligence lab」を立ち上げ

近い筋からの情報としてOpenAIのTrapit Bansal氏がMetaに転職するとの報道があり、これに対しても、OpenAIの広報担当は認めている。Bansal氏は2022年よりOpenAIに勤務し、共同創業者のIlya Sutskever氏とともに強化学習のリサーチ立ち上げで重要な役割を果たした。Bansal氏は、OpenAI初の推論モデルであるo1の貢献者としても名を連ねている。

Metaは「Superintelligence lab」とする新たなAIチームの立ち上げを進めており、AIモデルをSuperintelligence(超知能)レベルにすることを目指し、約50人で構成する予定だという。

このチームのメンバーを集めるにあたり、Meta CEOのマーク・ザッカーバーグ氏がAI分野のトップ人材獲得に自ら関与している模様だ。一部の人材には1億ドル相当の報酬パッケージを提示したり、研究に必要な処理能力や資金について心配することなく作業に打ち込めたりすことを触れ込んでいる。

ザッカーバーグ氏は100人単位のAI研究者、インフラエンジニア、起業家にWhatsAppやメールを通じて接触している。その中には、Sutskever氏のほか、OpenAIの共同創業者であるJohn Schulman氏、動画生成「Sora」を共同で立ち上げたBill Peebles氏も含まれているとのこと。一方で、ザッカーバーグ氏本人だと思わず、返信をしなかった人もいるそうだ。

OpenAIは対抗の報酬パッケージ

MetaとScale AIは6月12日、MetaがScale AIに「大規模な新規投資」を行うとともに、創業者兼CEOのAlexandr Wang氏がMetaに加わり、AIの取り組みを進めることを発表していた。この動きにより、OpenAIやGoogleなどScale AIと提携関係にあった一部の企業はScale AIと距離を置く動きを見せている。

このようなMetaの動きに対し、OpenAIのCEO、Sam Altman(サム・アルトマン)氏は「少なくとも、最も優秀な人材は自社に残っている」とコメントし、Metaが引き抜きを試みた一部人材に対しては、より高い報酬などを含む対抗パッケージを提示しているとみられる。Tech CrunchWall Street Journalなどが報じている。