TOKIUMは6月24日、経理AIエージェントの第1弾として「TOKIUM AI出張手配」を7月1日から提供開始すると発表した。同日にはメディア向けに説明会が開催された。
TOKIUMが目指す経理業務の自動化
TOKIUM AI出張手配は、日常的な言葉でチャット形式で依頼するだけで、最適な移動ルートやホテルの提案、出張の事前申請の作成までを一貫してAIエージェントが実行するサービス。
AIがプロスタッフと連携し、申請に基づいて予約まで完了できる。これにより、出張手配にまつわるあらゆる作業から営業担当者を解放し、営業活動に集中できる時間を創出するという。
まず、今年6月からCPO(最高製品責任者)も兼務することになったTOKIUM 代表取締役の黒﨑賢一氏は「SaaS(Software as a Service)の提供やオンラインBPO(Business Process Outsourcing)、オフライン作業に伴う派遣など、これまでの事業展開をふまえ、当社はAIとプロスタッフで経理業務の自動運転を支援する経理エージェントを提供する企業を目指す。タグラインは“経理AIエージェントのNO.1企業を目指す”だ」と述べた。
また、同氏は同1月に発表したOpenAIの「Operator」を引き合いに出し「Operatorは例えば『何らかのシステムにログインして操作してください』と依頼すればブラウザが起動して勝手に操作してくれる。これまではユーザーがさまざまなアカウントにログインして、操作していたがユーザーがシステムにログインする時代は終わりだと考えている。これからはAIエージェントが操作を行う。AIエージェントが人間の代わりにシステムを操作すること、特に経理領域で推進していくことがTOKIUMのAIエージェント構想となる」と話す。 同社は、あらゆる経理“作業"からビジネスパーソンを解放することを掲げ、経理AIエージェントを提供する。黒﨑氏によると、請求書1枚を処理するだけでも、経理担当者だけでなく営業担当など全社に作業が発生し、生産能力に影響を与えている。そのため、経理“作業”をなくす必要があるという。
同氏は「TOKIUMの経理AIエージェントは、AIエージェントに人材派遣やオンラインアシスタントなどの人力を掛け合わせて、経理業務の自動運転を実現するもの。2030年までに約2000万時間(約1万人分の労働時間を想定)の経理“作業”を当社で実行していく」と意気込みを語っていた。
TOKIUM AI出張手配 - 機能と導入メリット
こうした、同社の経理AIエージェントのプロダクトビジョンをもとにしているTOKIUM AI出張手配は日常的な言葉で依頼でき、例えば「大阪へ7月14日から2泊3日」「日帰りで7月29日に大阪出張」などとチャットするだけで、AIエージェントが飛行機・新幹線といった交通手段や宿泊先の候補を提案。これにより、担当者自身の比較・検討の手間を削減する。
同社が今年6月に営業担当者1100人を対象にした調査結果では、62.7%の人が交通手段や宿泊先の比較・検討といった出張手配業務が営業活動に影響を与えていると回答しているという。
TOKIUM プロダクト部 部長の花房優貴氏は新サービスについて「実際、出張が決まると宿泊先や新幹線などを探して手配し、会社にも事前に経費申請を行うというようなステップを踏む。しかし、TOKIUM AI出張手配は一連の流れを経理AIエージェントで実行し、ユーザーは依頼するだけになっている」と、そのメリットを説く。
また、AIエージェントが提案するホテルや宿泊先は、利用企業の社内規程にもとづいて提案されるため、意図しない高級なホテルや許可されていない移動手段が提示されることはないという。従業員の意図しない規程違反を防ぎ、負荷軽減だけでなくガバナンス強化も実現している。
提案内容が承認されると、出張申請を「TOKIUM経費精算」上でAIエージェントが自動的に作成。さらに、プロスタッフと連携し、申請に基づいて予約まで完了(将来的にTOKIUM以外の経費精算システムとの連携も行う予定)できる。
AIだけでは判断が難しい複雑な作業は、プロスタッフとAIが高度に連携して手配を完了させる。また、AIの出力結果の修正や精度向上する体制(ヒューマン・イン・ザ・ループ)を構築しているため、早期の段階から高い品質で業務を実行することが可能です。また導入時に各企業に合わせたサポートも可能としている。
なお、料金プランは「Liteプラン」が月額3万円(別途、基本利用料金が発生)、「Proプラン」は同5万円(同)~。Liteプランは、全AIエージェントサービスを月50時間分は自由に稼働させることが可能で、AIエージェントに実行させるジョブの難易度により実行可能なジョブ数が変動する。Proプランは対象スコープにおける業務成果物の納品となり、AIエージェントサービスとオンラインオペレーターを追加で組み合わせて実働するほか、受託する業務難易度と業務量により個別見積もりとなる。
経理AIエージェントの開発ロードマップ
今後、TOKIUM AI出張手配はTOKIUM上での事前申請と事後精算の自動連携や個人のカレンダー情報から出張を予測して、AIが自律的に手配を提案する機能などの開発を進めている。また、APIを介してTOKIUM以外の多様なサービス上でも新サービスを使用できる開発も行う考えだ。
一方、経理AIエージェントの開発ロードマップとして、フェーズ1では2026年5月までに支出管理領域で20体以上のAIエージェントの提供や、業務の自動運転をプロスタッフが一部補助することを予定している。
また、フェーズ2の2027年5月までに特定業務におけるAIエージェントの自動化範囲の拡大、プロスタッフがAIでは処理の難しい例外のみ介入することを計画。そして、フェーズ3の同6月以降には特定業務をAIエージェントが全自動で実行し、AI主体で業務スピードの向上を目指す。