KDDIとローソンは6月23日、「TAKANAWA GATEWAY CITY」のTHE LINKPILLAR 1 NORTH 6階に「Real×Tech LAWSON」1号店となる「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」を開店した。店内ではAIサイネージやロボティクスなど、業務効率化と顧客体験の向上に寄与する多数のテクノロジーが実証されている。

「Real×Tech LAWSON」はリアルの温かみとのテクノロジーによる利便性を融合させた、未来のコンビニをイメージした店舗として運営するという。今回、早速「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」での買い物を体験してきた。

  • 「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」開店セレモニー

    「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」開店セレモニー

AIとサイネージで柔軟な商品レコメンドが可能に

入店してまず驚くのは、サイネージの多さと大きさ。レジ周辺の大画面では、生成AIを活用した画像で時間帯によって異なる風景が演出される。そのため、同じ日に何度来店しても、その時間に応じた店内の雰囲気を楽しめる。

また、この画面はスマートシティと連携しており、周辺地域の天候や電車の運行状況なども配信可能。

  • サイネージによる情報発信の例

    サイネージによる情報発信の例

ホットスナック「からあげクン」が作られたタイミングで、このサイネージと連動して店内の全サイネージをジャックしてその情報を表示する。従来店舗では店員が揚げたての商品を店内に伝えていたが、より分かりやすく親しみのある情報発信が可能となった。

  • からあげクンが揚がると全サイネージをジャックしてお知らせ

    からあげクンが揚がると全サイネージをジャックしてお知らせ

また、おにぎりや惣菜などいくつかの商品棚では、AIカメラと連動したサイネージが表示される。商品棚の前に来店客が滞在する時間が長い場合には迷っている可能性が高いため、おすすめの商品や売れ筋のランキングを表示する。

商品に手を伸ばすと、お弁当とお茶の組み合わせでお得になるキャンペーンの案内など、関連商品の購入を促す。

  • 商品棚上部のAIカメラ

    商品棚上部のAIカメラ

  • 手に取った商品に応じてサイネージが変わる

    手に取った商品に応じてサイネージが変わる

商品の価格を掲示するプライスレールと連動したサイネージは、タッチ操作が可能。商品の実物を展示するだけでなく、商品の背景情報などより詳細な発信が行える。これにより購買行動を促すという。まずは、商品情報と購買意欲向上がつながりやすいサステナブル商品から実装する。

従来のコンビニ店舗は来店客に対する能動的な情報発信の機会が少ない点が課題とされていたが、プライスレール連動型のサイネージはまさに、コンビニ実店舗とECサイトの良いとこ取りといった陳列だ。

  • プライスレール連動サイネージ

    プライスレール連動サイネージ

ロボティクスによる業務効率化でオペレーション30%削減へ

ローソンは2030年度までに店舗オペレーション30%削減を目指しており、この目標を達成するために店舗業務を支援するロボットの活用を進める。「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」はその実証の場としても機能する。

同店では、従来の店舗では人手による対応が不可欠な店内清掃や飲料陳列、ホットスナック調理を支援するロボットを導入した。これにより、従業員は複雑な業務や接客業務に集中できるようになる。

  • 清掃ロボット

    清掃ロボット

  • 飲料陳列ロボット

    飲料陳列ロボット

  • 「からあげクン」自動調理ロボット

    「からあげクン」自動調理ロボット

将来的には限られた人手でも運営可能な店舗を実現することで、地域の生活インフラとしての役割を確かなものにする。また、店舗を運営するオーナーの障壁を低減するとともに、従業員にとって働きやすい職場環境も期待できる。

同店ではさらに、AIエージェントを活用した店舗運営の高度化も検証する。店内に設置したカメラの映像や従業員が着用しているタグのデータから、清掃状況や商品の陳列といった店内の状態をAIが分析し、より効率的な運営をサポート。

AIエージェントは店内の状態をダッシュボードに一元表示するだけでなく、チャット形式での対話も可能。店舗の課題を投げかけることで、課題の抽出から改善策の提案までAIが実施する。

  • AIエージェントとの対話の例。売上と店舗の課題の相関を提案している

    AIエージェントとの対話の例。売上と店舗の課題の相関を提案している

いつものローソンと"一味違う"新たな体験

「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」には、「Pontaよろず相談所」というリモート接客システムが設置されている。テレワークブースのような見た目で、中に入るとauの機種変更やプラン変更の他、清掃・家事代行、オンライン診療などのヘルスケア、保険の相談など、その名の通り生活のさまざまな困りごとを相談できる。

リモート接客システムには、KDDIが提供する「次世代リモート接客プラットフォーム」を活用。これまで金融機関や医療機関など専門の施設に行かなければ受けられなかったサービスやサポートを、コンビニでも受けられるようになる。

ブースの利用は予約不要で、希望する要件をAIアバターに話すか、画面を操作することで各分野の専門スタッフとビデオ通話がつながる。

  • 「Pontaよろず相談所」の利用例

    「Pontaよろず相談所」の利用例

  • 利用時には扉が閉まりプライベートが保たれる

    利用時には扉が閉まりプライベートが保たれる

ユニークな取り組みがもう一つ。それは、店舗入口に設置された「AI Ponta」だ。生成AI(Gemini)を搭載したPonta人形が、高輪の街に関する情報や占いなど、来店客が楽しめる情報を発信する。Pontaのおへそを触ると、おもしろい名言やことわざ(?)を教えてくれる。

  • AI Ponta

    AI Ponta。星座やラッキーカラーなどいくつかの質問に答えると店内のラッキーアイテム(おすすめ商品)をレコメンドしてくれる

他にも、セルフレジの操作をサポートしてくれる3Dアバターなど、さまざまな取り組みが盛りだくさんの店内だった。ちなみにこの3Dアバターは遠隔から操作可能であり、お酒やたばこの購入時にはアバターを通じた年齢確認も可能だという。

  • 3Dアバター

    3Dアバター

「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」は高輪ゲートウェイ駅の改札を出て右手、「TAKANAWA GATEWAY CITY」のTHE LINKPILLAR 1 NORTH 6階に開店した。KDDIの本社オフィスが入るビルではあるが、ローソン店舗は誰でも利用可能だ。ぜひ近くに寄った際には、リアルとテクノロジーの掛け合わせによる顧客体験を感じてほしい。