電通は6月20日、店舗や施設などのリアル空間とバーチャル空間を融合し、空間拡張技術と空間移動技術の組み合わせによって高度な没入体験を実現する次世代エンターテインメントプラットフォーム「Scape」を活用したロケーションベースエンターテインメント事業開発の支援を開始することを発表した。
これに伴い、同社は独自の空間拡張技術で特許を取得し、Scapeをすでに展開するABALと6月1日付で戦略的提携を締結した。
ロケーションベースエンターテインメントとは、特定の物理空間で行われるレジャー活動を指し、没入型の体験を提供するように設計されている。具体的には、バーチャルリアリティ(VR)パーク、拡張現実(AR)体験、脱出ゲーム、インタラクティブ展示などが含まれる。
電通は自社の広告コミュニケーションやマーケティングに関するノウハウやクリエイティビティと、ABALの技術力を掛け合わせることで、企業が保有するIP(知的財産)やコンテンツを生かした独特の体験価値をScapeを通じて提供し、既存施設のテーマパーク化や新しいロケーションベースエンターテインメント事業の開発を支援する。
空間拡張技術の特許を有するABAL
今回、戦略的提携をしたABALは、500平方メートルのリアル空間にいても、20倍の1万平方メートルの仮想空間にいるような体験ができるなど、空間拡張技術の特許を18件保有している。
代表的な特許技術は、来場者が実際には移動していなくてもバーチャル空間のエレベーターや乗り物を通じて、広大な空間を移動しているような体験を提供したり、来場者同士が同じリアル空間にいながらも、バーチャル空間では異なる空間にいる場合、アバター表現を変化させることで、リアル空間での来場者同士の衝突を防いだりできるもの。
これらの特許技術を活用したプラットフォームであるScapeにより、会議室やスタジオのような限られたスペースでも、高度な没入感のあるエンターテインメント空間を構築することを可能にする。
Scapeの概要
Scapeには、リアル空間での行動をバーチャル空間へ連動させる仕組みや、バーチャル空間で撮影した写真をスマートフォンに保存し、SNSでシェアできる機能があり、体験や感動の共有もできる。
100人の同時体験も可能で、企業にとっては、展示会などの限られたスペースでも、さまざまな体験価値を提供し、既存の施設をテーマパークにすることができるようになる。
低コストで次世代エンタメを導入したり、少ないスペースを生かして収益源とすることが可能になったりと、メディアやエンタメ企業のIPを活用した新規事業としても期待できるという。