amuse oneself、KDDI、KDDI総合研究所は6月19日、ドローンからの3D点群データのリアルタイム伝送実証を6月5日に実施し成功したことを発表した。
実証では、水に吸収されにくいグリーンレーザーを使用し水中の3D地形でも可視化可能なamuse oneselfのドローンレーザースキャナシステム「TDOT 7 GREEN」と、KDDIが提供する3D点群圧縮ソフトウェアをドローンに搭載。上空から地形や地物の3D点群データの伝送を実施した。
一般的な近赤外線レーザーでは、これまで水害時のデータの計測が困難とされてきた。しかし実証結果の活用により、水害時の被災現場の状況を遠隔からリアルタイムに3Dデータで確認できるようになる。従来は数時間必要な被災状況の詳細把握にかかる時間を数分に短縮でき、より迅速な救助活動への貢献が期待されるという。
実証の背景
3D点群データは画像や映像データと比べて、サイズや奥行き情報を含む立体的な情報を取得できるため、測量用途など国や自治体でも活用が進んでいる。しかし、現場で測量された3D点群データはデータ量が多く、遠隔地と共有するためにはデータを保存した記録媒体そのものを事務所に持ち運んだり、時間をかけてクラウドに伝送したりする必要があるなど、即時共有が困難だった。
豪雨や台風などによる水害は、降雨の規模や河川の氾濫状況、地形や地物の状況によって被害の範囲や程度が大きく異なるため、正確な浸水範囲や被害状況の把握が難しい。そのため、避難誘導や救援活動、復旧計画の策定が遅れる場合もある。さらに、危険箇所の特定や今後の水害リスクの評価が困難になると考えられる。
実証の概要
実証では、KDDIが提供する3D点群圧縮ソフトウェアを搭載したamuse oneselfのスキャナシステム「TDOT 7 GREEN」を用いて、ドローンで上空から地形や地物を計測した3D点群データのリアルタイム伝送を実施。ドローンからの通信はKDDIスマートドローンが提供する「上空電波パッケージ」を使い、モバイル通信により実施した。
ドローンに搭載したグリーンレーザーで取得した3D点群データを、同じく搭載した小型軽量なコンピュータ上で動作する3D点群圧縮ソフトウェアを使用し圧縮することで、伝送に必要なデータ量を約5分の1~20分の1に削減し、モバイル通信でも即時に遠隔へ伝送できることが確認された。