米Googleは6月17日(現地時間)、同社のAIモデル「Gemini」の最新版である「Gemini 2.5」シリーズの拡充を発表した。今回のアップデートでは、高性能モデル「Gemini 2.5 Pro」と高速モデル「Gemini 2.5 Flash」が安定版として正式にリリースされたほか、最も軽量で高速な新モデル「Gemini 2.5 Flash-Lite」がプレビュー版として公開された。

これまでプレビュー段階にあった「2.5 Pro」と「2.5 Flash」は、今回「一般提供(GA: General Availability)」へと移行した。これは、企業が自社のサービスに組み込む本番環境での利用に十分な品質と安定性を備えたことを意味する。すでにSnapやSmartBearといった企業が、数週間にわたり最新バージョンを自社の製品やサービスに導入している。特に「2.5 Pro」は、以前のビルドで指摘された問題点を改善したバージョンが採用されており、性能の安定化が図られている。

プレビュー版として新たに登場した「Gemini 2.5 Flash-Lite」は、2.5ファミリーの中で最もコスト効率と速度を重視して設計されたモデルである。翻訳やテキストの分類といった、大量のデータを高速かつ低遅延で処理するタスクに適している。従来の「2.0 Flash-Lite」と比較して、コーディング、数学、科学的推論、マルチモーダル(画像やテキストなどの複数形式の情報を同時に扱う能力)処理などにおいて品質が向上しており、長文を一度に処理できる100万トークンのコンテキスト長もサポートする。

「2.5 Flash-Lite」はコスト面でも優れており、API料金は100万トークンあたり入力0.10ドル(テキスト・画像・動画)/0.50ドル(音声)、出力0.40ドルに設定されている。これは、上位モデルの「2.5 Flash」(入力0.30ドル/出力2.50ドル)と比較して、テキストの入力コストが3分の1、出力コストは6分の1以下である。この特徴により、カスタマーサポートの自動応答や大量の翻訳業務など、高頻度でのAI利用が求められる場面での活用が見込まれる。

これらの新しいモデルは17日より、開発者向けプラットフォームである「Google AI Studio」および「Vertex AI」で利用可能となった。「2.5 Flash」と「2.5 Pro」は、一般ユーザー向けの「Gemini」アプリでも利用できる。