Salesforceは6月5日、営業チームを強化する自律型AIエージェントである「Agentforce for Sales」に関するプレス・アナリスト説明会を開催した。

説明会には、セールスフォースフォース・ジャパン 専務執行役員 製品統括本部 統括本部長の三戸篤氏、セールスフォースフォース・ジャパン 製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャーの伊藤深雪氏、日本M&Aセンター 代表取締役社長の竹内直樹氏が登壇。

Agentforce for Salesの最新機能として「Agentforceセールスディベロップメント」と「Agentforce セールスコーチング」が紹介された。

「Agentforceセールスディベロップメント」は4月から日本語対応版が提供開始されており、「Agentforce セールスコーチング」は年内に日本語対応版が提供開始される予定。

「Agentforceセールスディベロップメント」の概要

「Agentforce for Sales」は、営業担当者が本来取り組むべき付加価値の高い業務に対し、十分な時間を割けていないという根本的な課題を解消するために開発されたAIエージェント。

  • 「Agentforce for Sales」のイメージ

    「Agentforce for Sales」のイメージ

その中で、新機能である「Agentforceセールスディベロップメント」は、24時間365日、自律的にリードの追跡や商談の進捗管理を行い、必要に応じて問い合わせ対応やデータ更新を自動で処理するAIエージェント機能となっている。

同機能は、製品の質問に対応、オブジェクトハンドリングを行い、アポイント取得までを自律的に対応することで、インバウンドリードを逃さない。また、パフォーマンスを監視し、エージェントから営業担当へのスムーズな引き継ぎとROI(Return On Investment:投資利益率)の可視化を実施することで、安全に見込み客育成を自動化することができる。

「Agentforceセールスコーチング」の概要

もう1つの新機能である「Agentforceセールスコーチング」は、営業担当者一人一人に「AIエージェント」という専任のコーチをつけ、最高の営業担当者に育てるコーチング機能。

伊藤氏は、売上の80%は上位20%から生み出されているという「80:20の法則(パレートの法則)」をもとに、「Agentforceセールスコーチング」の概要を説明した。

「Agentforceセールスコーチングは、もし80%の営業担当が上位20%と同じ行動をできたら……という発想の下、20%が当たり前に実践している『顧客へのヒアリング』『顧客との合意の取り方』『新規製品/サービスの案内方法』を体系化し、コーチングする機能として開発したものになります」(伊藤氏)

  • Agentforceセールスコーチングを説明する伊藤氏

    Agentforceセールスコーチングを説明する伊藤氏

伊藤氏曰く「営業は、知識のみならず『実践すること』が肝」とのことで、商談フェーズごとに異なるコーチングポイントを標準搭載し、「エレベータートーク(短い時間のプレゼン)」「エージェントとのロールプレイ」を練習することができる機能となっている。

日本M&Aセンターが Agentforce for SalesのPoC開始

説明会の後半では、日本M&Aセンター 代表取締役社長の竹内直樹氏が、「人とAIの共創により実現する最高のM&A」というタイトルで、Agentforce for Salesの活用事例を紹介した。

竹内氏曰く、同社の営業上の課題として「新規アポイント取得率が低下している」「M&Aは重要性は高いが緊急性は低い」「M&Aの検討期間は長い」といったことがあり、これらの課題の解決には「データ活用」が鍵を握っていたという。

「弊社は、2025年5月から顧客とのファーストコンタクト領域でAgentforceのPoCを開始しました。元々、弊社はSalesforceに情報を蓄積しており、情報管理が最重要なM&Aビジネスにおいて、別サービスの利用はリスクも伴う恐れがあったことが導入理由の一つでした」(竹内氏)

  • 導入の理由を語る竹内氏

    導入の理由を語る竹内氏

さらに一からAIを作る必要がなく、短期間で実装が可能なのも導入の理由になっているそうで、6月末時点の結果を踏まえて、今後について検討していくという。