富士通は6月4日、フランスの通信事業者Orangeと共に大容量光伝送装置「1FINITY T900シリーズ」をOrangeの実環境で評価検証し、低消費電力を保ったまま約1600キロメートルの伝送を達成したことを発表した。これにより、消費電力を抑えながら長距離かつ大容量伝送が可能であることが確認された。
今回の検証はOrangeの実環境での長距離伝送試験として、フランスのランニオンにあるOrange Innovation Labsで実施された。Orangeは富士通の「1FINITY T900」がすべての伝送レートにおいて低い消費電力であり、毎秒800ギガビット(Gbps)での伝送レートにおいては、150ワット未満の消費電力を保ったまま少なくとも1600kmの伝送距離を達成したことを確認した。
従来の装置設計では伝送レートの向上に伴い消費電力が増加し、長距離伝送コストの上昇につながっていた。これに対し「1FINITY T900」は冷却構造を装置内に納める独自のクローズドループ水冷技術を採用し、メンテナンス性と信頼性を保ちながら冷却効率を向上させ低消費電力を実現しているという。
「1FINITY T900」はこの水冷技術と最大毎秒1.2テラビット(Tbps)の大容量伝送を組み合わせることで、導入コストと運用コストを削減しながら高信頼で持続可能なサービスを提供する。
また、富士通はネットワークプロダクト事業を承継する新会社「1FINITY」を7月1日付で発足し、ネットワークに関連する事業を統合。今後も最新技術を採用しながら、光伝送装置ブランド「1FINITYシリーズ」を通じて、高信頼、低遅延かつ環境負荷を低減した光ネットワークの構築と社会実装を支援する。