Microsoftは6月2日(現地時間)、「Updates to Windows for the Digital Markets Act」において、欧州経済領域(EEA)におけるデジタル市場法(DMA)への対応として、Windows 10および11に複数の変更を加えると発表した。

この対応には、デフォルトのWebブラウザをEdge以外にした場合の挙動の変更などが含まれている。ただし、日本を含む、EEA以外の地域のWindowsには影響しない。

  • Updates to Windows for the Digital Markets Act|Windows Insider Blog

    Updates to Windows for the Digital Markets Act|Windows Insider Blog

WindowsにおけるDMA対応の背景

DMAには、EUが「ゲートキーパー(支配的なオンラインプラットフォーム)」と見なす企業に対して、市場の独占を防ぐための取り組みを課す規約がある。Microsoftもゲートキーパーの一社に指定されており、自社サービスを優遇せず、ユーザーに選択肢を与えることが求められている。

Windowsにおいて特に問題になっているのが、規定のWebブラウザや検索エンジンとして、Microsoft製のEdgeやBingが優先されている点である。Microsoftでは、過去にもInternet Explorerの強制バンドルなどで反トラスト法違反の制裁を受けた経緯がある。その経験から、今回も細心の注意を払って対応を進めている。

Edge以外を規定のブラウザに設定した場合の挙動

現在、Edge以外のサードパーティーのブラウザを規定に設定すると、起動時にEdgeを既定のブラウザに設定するかどうかを確認するポップアップメッセージが表示される。今回のDMA対応によって、EEA内のWindowsではこのポップアップの表示が削除された。今後は、タスクバーのEdgeのアイコンをクリックした場合のみ、規定にするかどうかの確認を表示するようになる。

また、サードパーティーのブラウザを規定に設定した際に、より多くのリンクやファイルの種類を自動でそのブラウザに関連付け、タスクバーにも自動でピン留めするようになる。

規定のブラウザへの設定を促すメッセージの無効化は、2025年5月29日にリリースされたEdge バージョン137.0.3296.52 以降に適用されている。残りの機能は2025年7月から一般ユーザー向けに順次展開される予定である。

Windows検索でBing以外を使用可能に

Windows Searchの機能も強化された。EEA内では、Windows検索に対してサードパーティーの検索サービスを設定し、複数の検索プロバイダーの結果を同時に表示できるようになる。また、設定画面で検索プロバイダーの順序を変更することも可能となり、ユーザーの好みに応じたカスタマイズが容易になった。

これらの変更は、既にWindows Insiderビルドで利用可能となっており、2025年6月初旬から一般ユーザー向けに展開される。

Microsoft Storeがアンインストール可能に

Microsoft Storeに関しても、EEA内のユーザーはこれをアンインストールできるようになった。ただし、Microsoft Storeを通じてインストールされたアプリは、Microsoft Storeをアンインストールしても引き続き使用でき、アップデートも適用される。アンインストールしたMicrosoft Storeは、必要に応じて再インストールすることもできる。

この変更は、2025年後半に利用可能になる予定だという。