新医療リアルワールドデータ研究機構(以下、PRiME-R)は6月3日、Cyber OncologyをベースとしたCyber PMSを用いたがん領域における製造販売後調査(PMS:Post Marketing Surveillance)支援サービスを提供開始することを発表した。
サービス提供開始の背景
製薬業界においては、医薬品の開発や市販後の観察研究におけるRWD(Real World Data)の利活用が進められており、PMSの分野でもその期待が高まっている。
PRiME-Rは2023年に製薬会社と協働でPMSにRWDを活用するモデルを構築しており、その際に医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ相談した結果に加え、IQVIAジャパンの知見も取り入れながらCyber OncologyをベースとしたCyber PMSの開発を進めてきたという。
PMS支援サービスの概要と特長
PMSは「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成16年12月20日厚生労働省令第171号)(GPSP省令)に基づき実施され、システムを利用する場合は「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について」(平成17年4月1日薬食発第0401022号)(ER / ES指針)に準拠する必要がある。
これに対し同サービスでは、PMSで求められるデータの収集をCyber PMSで実現する。Cyber PMSは電子カルテ端末から起動可能なアプリケーションで、ER / ES指針で求められる監査証跡や電子署名、アカウント管理といった機能を備える。
これにより、従来のように電子カルテとは別にEDC(Electronic Data Capture)などを準備し重複してデータを入力する必要がなくなることから、医療機関のデータ入力と管理の負担軽減が期待できる
また、Cyber PMSと接続された電子カルテから薬剤や検査データを自動で取り込みできるため、入力ミスを抑止し品質の高いデータを担保。さらに入力したデータは他の臨床研究などにも再利用可能だという。
データ入力は有害事象・薬剤・疾患名などほぼ全ての項目を選択式とし、誤記によるクエリの減少、コーディング作業の省略、AE Reconciliation(有害事象:Adverse Eventの照合・突合)の効率化が期待できる。
PMS開始前には、Cyber PMSと連動するCyber Oncologyに蓄積されたデータを利用してフィージビリティ調査を実施し、事前に見込み症例数を把握することにより必要最小限の医療機関でのPMSの実施が可能となる。そのためコストと稼働の効率化が図れる。