アリババクラウドは5月30日(中国・杭州現地時間)、パナソニックAPチャイナとAI分野において提携を開始することを発表した。
生活家電領域におけるパナソニックの専門性と、クラウドおよびAI領域におけるアリババクラウドの技術を組み合わせ、スマート家電に特化したAIエージェントの共創やAI人材の育成、家電業界のグローバル展開を進めるという。この取り組みにより、両社はユーザーにとってより自然でスマートな生活体験の提供を目指す。
AIプラットフォームによる能動的サービスに期待
パナソニックAPチャイナはアリババクラウドが提供するLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)「通義千問(Qwen)」を活用し、スマートリビングを実現するためのAIプラットフォーム「智慧怡居」を開発する。
このプラットフォームによって、洗濯機や冷蔵庫をはじめとする家電製品がより高精度な知能を備え、ユーザーの暮らしに寄り添った最適なサポートを提供することが期待できるという。
例として、LLMで駆動するAIエージェントによる洗濯の最適化、調理レシピの提案、冷蔵庫食材の管理などが可能になるほか、環境認識能力の向上により家電が状況を判断して自発的に動作する「能動的サービス」の提供も実現可能とのことだ。アリババクラウドはこの取り組みに対して、クラウド基盤、LLM製品群、専門技術チームによる全面的な支援を提供予定。
パナソニックAPチャイナのAI人材育成も支援
今回の提携においては、パナソニックAPチャイナのAI活用を支える人材基盤の構築も重点テーマの一つとなる。そこで両社はアリババクラウドが有するLLM活用に関する研修プログラムや、ケーススタディを通じた実践的な学習機会、エンジニア認定制度などを共同で展開する。これにより、社内のAI人材育成を加速するとともに、その知見を業界全体に還元することを目指す。
また、パナソニックAPチャイナが掲げる「China for Global」戦略の一環として、両社は今後、東南アジアや中東を含む海外市場におけるスマート家電IoTソリューションの展開も視野に入れ、具体的な協議を進めるとしている。
今回の協業を通じて、パナソニックAPチャイナはアリババクラウドのAIモデルやその実運用の知見を、自社のサプライチェーンや業務プロセス全体に活用する。企業運営の効率化と戦略実行の精度向上を図り、スマート家電を軸とした全社的なインテリジェント変革の加速を目指す。