The Registerは5月29日(現地時間)、「HP Inc. hastens China exit as tariffs hurt profits」において、HP社の2025年度第2四半期の決算発表内容について伝えた。HP社の株価当たりの利益は当初の予想を下回っており、対策として北米向け製品の中国での生産を急速に縮小させる計画を発表したという。
株価は最大15%下落、通期の利益見通しも下方修正
PCとプリンタの販売を主な事業とする同社は、2025年第2四半期(4月30日締め)の売上高が前年同期比3.3%増と堅調だった一方、1株利益は0.71ドルにとどまり、市場予想の0.79ドルに届かなかった。この決算発表を受けて、米株式市場引け後の時間外取引で同社の株価は最大15%下落し、通期の利益見通しも下方修正された。
CEOのEnrique Lores氏は、その主な要因として、米国の対中追加関税による影響を完全には軽減できなかったことを挙げている。関税に伴う経済的な不確実性の高まりが、米国におけるPC需要を圧迫しており、その影響が当初の予想よりも大きかったとのことだ。
生産拠点の中国以外への移転を加速
同社は、関税の影響を軽減するために、2025年6月までに米国で販売される中国製製品をほぼゼロにする方針を発表した。具体的には、生産拠点のベトナム、タイ、インド、メキシコ、米国等への移転を加速させるという。
さらに、カナダおよびラテンアメリカ向け製品の販売拠点から米国を除外したことも明らかにした。これによって関税コストを削減できる。これらの対策によって、同社は第4四半期(2025年8月から10月)までに、関税の影響を「完全に緩和」することを目指している。
今後の見通しについて、Lores氏は「会計年度後半の業績が芳しくない可能性がある」との見方を示している。その一方で、Windows 10のサポート終了に伴うPCの買い替え需要や、AI対応PCの需要が、売上を下支えする可能性もあるという期待ものぞかせた。同社は、PC出荷台数全体の25%以上をAI搭載PCにすることを目標に掲げている。