【株価はどう動く?】関税ショックを織り込み、再び「トランプラリー」の大反騰相場へ

日本は6月初めに相場の転機が?

 日本の株式市場は前回指摘したように、2025年4月7日の安値で二番底が入りました。一番底は24年8月5日の安値でした。二番底が入れば株価は上がるというのが相場の波動ですから、その通りに足元で株価は上昇してきています。

 3万円から3万5000円というボックスに落ちていた日経平均でしたが、再び3万5000円から4万円というゾーンに入ってきています。この4万円が天井だと思っている人も多いですから、このゾーンでしばらく揉み合い、4万円の壁はなかなか突破できないのではないかと見ています。

 日柄、時間の波動から見て、4月7日が二番底ですから、ここから「3月またがり60日」の6月7日近辺は意識したいと思います。

 この近辺に相場の転機がやってくる可能性があります。転機というのは、相場が上か、下かに行くということですが、私は上に行く可能性が高いと考えています。

 

 では、その時に株価が上がる情報が出てくるだろうかと考えると、その頃にはカナダでG7(主要7カ国)サミットが開催されます。その頃までには日米の関税問題は決着が付くのではないかと見ます。

 トランプ政権は今の自民党、与党が7月の参議院議員選挙を意識していることをわかっており、日本に「貸し」をつくることができます。

 先日の米中の合意を見ても、145%の高関税を掲げたわけですが、結局は115%下げて30%で決着しています。これを見ると、最初からそのような考えだったのだと思います。

 日本も交渉次第ですが、引き下げて終わる可能性が高いのだと思います。関税を引き下げる代わりに対米投資を求めるという形で決着するのではないでしょうか。

 トランプ大統領は、最初の訪問先として中東3カ国に赴きましたが、最大の狙いは対米投資です。実際にサウジアラビアとは21兆円の武器売却で合意しました。トランプ大統領の4月末までの就任100日は「関税試行期」でした。諸外国との貿易で被った赤字を、関税で取り戻そうという試みです。

 いわば、今の事態を想定して動いていたわけですが、実際4月27日、トランプ大統領は記者団に対して「病人(米国)には手術(関税)が必要。その手術は完了した」と話しています。

 加えて、その関税で得られた資金で、所得20万ドル未満の人たちの税金を大幅に下げる、場合によってはゼロにするとしています。

 関税期間は4月末で終わり、5月以降は外に向かっては米国の利益になるような各国とのディールを行うことになるでしょう。別の言い方をすると、トランプ関税ショックをすでにマーケットは織り込んだ可能性が高い。この後は、米国にとってプラスの材料が出てくる分が多くなると見ています。

 そして、内に向かっては減税や規制緩和を打ち出してくることになります。それに向けてはDOGE(政府効率化省)を活用してきますが、今後、イーロン・マスク氏は以前ほど、前面に出てこないでしょう。マスク氏はビジネスの方にシフトしたようですから、それを受けてテスラの株価は急反騰しています。

 こうした材料によって、米国株は「黄金時代」の足音が聞こえ始めています。

 地政学リスクも緩和の方向に向かうことが見込まれています。選挙公約では、「自分が大統領になったら戦争は1日で終わらせる」としていました。1日では終わりませんでしたが、実行しようとしています。

 バイデン前大統領の時には戦争は拡大する一方でしたが、トランプ大統領は、自分が大統領になったことで、戦争は止まりつつある、ということをアピールしたいのだと思います。

 ロシアとウクライナはトルコで停戦に向けた交渉を行いましたが進展はなかったようです。中東にしてもイスラエルとハマスとの紛争を終わらせて、周辺国をリゾート化する意向を示しています。

 トランプ氏の一族は、中東でのビジネスを打ち出しています。カタールでは、同国初の高級ゴルフリゾートを建設する計画を発表。

 UAE(アラブ首長国連邦)のドバイに地上350メートル、80階建ての「トランプタワー」建設を目指すとしています。大統領がビジネスをやっているのも同然ですから、利益相反だと批判を受けています。

 株式市場から言うと、トランプ関税ショックは織り込み、地政学リスクも沈静化しつつある。対米投資が活発化し、法人税や所得税の減税があるとなれば、株価上昇につながります。

 トランプショックで調整していた米国株も、ついに底入れして、反転上昇の動きとなっています。

 ニューヨークダウは24年12月4日と25年1月31日に4万5000ドル台でダブルトップを付けた後、急落して4月7日の3万6600ドル台で当面の底入れをして、戻ってきています。

 高値から9000ドルちょっと下げるという厳しい下げでしたが、この半値戻しはどこかというと、4万1000ドル近辺です。この半値戻しの壁をすでに突破しています。

 

 いずれにせよ、日米の株価は底入れから反騰相場に入りつつあります。トランプショックによる大暴落から、トランプラリー再びの大反騰相場に入っていくことになりそうです。

 相場を牽引するのは、まず防衛関連です。特に海運、造船が有望です。そして新NISA関連です。中でも最小投資単位の引き下げにより、分割を行う企業、業績がよく高配当で、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れているような一流企業、そしてインフレヘッジ銘柄にも注目です。

 日本株は大きな転換点を迎えつつあります。長期シナリオでいえば1989年12月末の3万8915円から、09年3月10日の7054円まで、20年間下がって底入れしました。

 長期波動で言えば、09年から20年上げる波動なのです。ですから2028~2029年頃に今回の「日本再評価相場」の天井を付けるというのが波動から見た読みになります。