リコーと産業技術総合研究所(産総研)グループ、およびAIST Solutionsは5月28日、“はたらく”人を起点に知的生産性の最大化を目指す「知識集約型デジタルサービス創出連携研究室」を千葉県・産総研柏センター内に設立し、本格的な研究を開始したことを発表した。
顧客の“はたらく”に寄り添いビジネスを展開してきたリコーは、1977年にオフィスオートメーション(OA)を提唱。早くからオフィス空間や業務プロセスの最適化に取り組み、単なる業務効率化にとどまらない、人が創造的に働ける環境づくりを目指してきた。また同社は近年、「“はたらく”に歓びを」を同社の使命と目指す姿に掲げ、その実現に向けた取り組みを進めているとのこと。具体的には、イノベーションファンドを通じたスタートアップ支援や、AIおよびデジタル技術を活用した共創型DXによる経営課題解決などに取り組んでいるとする。
一方の産総研は、経済および社会の発展に資する科学技術の研究開発を総合的に行っており、「社会課題の解決」と「日本の産業競争力強化」をミッションに掲げ、AIST Solutionsとともに世界最高水準の成果創出および社会実装に注力している。また、イノベーションをめぐる環境の変化や、それらを踏まえて策定された国家戦略などに基づき、国際標準化にも中核的・先駆的な立場で取り組んでいるという。
そんな両者は今般、連携研究室を新設。各機関が保有する知見を統合し、サービス工学を基盤として知的生産性を最大化するための方法論・技術の研究開発を加速させることを目指すとする。また同研究室を拠点に、知識集約型産業における高付加価値な成果を生み出すためのソリューション開発と社会実装を進めるとした。
なお具体的な取り組みとしては、業務特化型AIエージェントの展開や、ナレッジ起点のデータビジネスの構築、ビジネスプロセスのデジタルツイン化による運用最適化と新たな価値創出を挙げ、データドリブンなサービス価値を展開するという。
そして両者は今般、連携研究室の体制が整ったことから、本格的な研究を開始。今後はリコーが有するAI・ICT・センサなどの技術資産と、産総研が有する“人間計測/拡張・サービス工学の技術”を互いに活用し、人間の知的労働とテクノロジーの融合による新たな働き方の実現を目指すとする。また将来的にはその成果を国内外の研究機関および産業界と連携させ、国際的な標準化につなげることで、日本発の「知識集約型デジタルサービス」を世界に発信・実装することを目指すとしている。