セールスフォース・ジャパンは5月26日、AI主導の意思決定と自動化されたインサイト提供を実現する新しい分析プラットフォーム「Tableau Next」の日本語による提供を6月15日より開始することを発表した。
同日に開催された説明会には、セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 Tableau事業統括本部 統括本部長の福島隆文氏、セールスフォース・ジャパン 製品統括本部プロダクトマネジメント&マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャーの杉村麟太郎氏、KDDI パーソナル事業本部 パーソナルシステム本部長の鍛原誠剛氏が登壇した。
Tableau Nextの概要
最初に登壇した福島氏は「91%のビジネスリーダーが、生成型AIが自社に利益をももたらすだろうと回答している」という調査結果を紹介した。
福島氏は調査結果を基に、「迅速なビジネス上の意思決定」「業務効率の向上」「価値ある業務に時間を割く」「自動化されたワークフロー」「顧客満足度の向上」といった分野でエージェント型AIを活用している組織が成功を収めている現状を説明した。
このような背景をもとに、日本語での提供開始が発表されたTableau Nextは、SalesforceのHyperforce基盤上に構築されたソリューションで、AIエージェントプラットフォームのAgentforceと、インテリジェントなセマンティックレイヤーであるTableauセマンティックの2つを中核技術として設計されている。
Salesforceのデータプラットフォームである「Data Cloud」と連携することで、統一されたビジネス定義に基づく信頼性の高いデータ分析を可能にしている。
また、自然言語によるクエリ実行、異常検知、アクション提案を行うAIエージェントも標準搭載しており、Salesforceのワークフローとデータビジュアライゼーションを組み合わせることで、インサイトの獲得からアクションの実行まで、シームレスかつスピーディに実現するという。
Tableau Nextの主要機能
Tableau Nextの機能としては、「ビジュアライゼーションとアクション」「Tableau セマンティック」「Agentforceの統合」「Concierge」「Data Pro」「Inspector」「社内マーケットプレイス」となどが用意されている。
自然言語でのやりとりを通じて、ユーザーの問いに対しインサイトを導き出すAIスキル「Concierge」、データの収集・整備・可視化を一手に担うAIスキル「Data Pro」、リアルタイムでデータを監視し、異常値やトレンドの変化を検知するAIスキル「Inspector」は2025年6月から一般提供が開始されるが、日本語対応は未定。
また、組織内で蓄積されたダッシュボードやデータソース、KPIテンプレートなどの分析資産を一元管理・共有できる仕組みである「社内マーケットプレイス」は、2025年6月からベータ版が提供開始されるが、こちらも日本語への対応は未定となっている。
2025年6月から日本語での一般提供が開始される機能は、「ビジュアライゼーションとアクション」「Tableau セマンティック」「Agentforceの統合」の3点。
ビジュアライゼーションとアクション
Tableau Nextのビジュアライゼーション機能は、直感的で表現力豊かにデータを可視化するもの。
これは、単にデータを見るだけでなく、会話型分析やドラッグ&ドロップを通じてインサイト発見を促進する特徴を持っており、メトリクスを含めてダッシュボードに自由に配置可能。
発見したインサイトを業務ワークフロー内で直接的なアクションにつなげることを意識して設計された機能となっている。
Tableau セマンティック
Tableau セマンティックは、Data Cloudに統合された、Salesforce全体で統一された信頼性の高いセマンティックレイヤー機能。
データにビジネスコンテキストと意味を付与し、ビジネス用語でデータにアクセスできるようにする。
さらに、このレイヤーにおいて信頼性の高いデータに基づいたビジネスメトリクスが一元的に管理されることにより、一貫性のある信頼性の高いインサイトや、AIがデータを正確に解釈するための基盤を提供する。
Agentforceの統合
Agentforceはユーザーのタスク完了を支援するエージェント型分析プラットフォーム。Concierge(信頼できるQ&A)、Inspector (プロアクティブなインサイト)、Data Pro(データ準備・モデリング支援)といったプレビルドの分析スキルをあらゆるユーザーに提供する。
エージェント型分析時代に対応したフレームワークへと刷新
さらに同社は、Tableau Nextの日本市場での定着を支援するため、組織におけるデータドリブンな文化の醸成を支援する実践的なガイドラインとして、エージェント型分析時代に対応したフレームワークへと刷新する取り組みを開始した。
同取り組みでは、戦略立案・ガバナンス・スキル育成・コミュニティ形成に至るまで、全社的なデータ活用を推進するベストプラクティスを体系化している。数千件に及ぶ導入実績に基づいたこのフレームワークは、部門を横断した分析の高度化と、持続可能な意思決定基盤の構築を力強く後押しするという。
さらに、Tableau Nextの発表に伴い、世界中のTableauユーザーがつながり、学び合うグローバルなコミュニティである「Tableau Community Slackワークスペース」に日本語のチャンネル(#community-japan)が登場した。
このワークプレイスには、データスキルの習熟度にかかわらず誰もが気軽に参加可能で、製品に関する質問や情報交換、コミュニティ主導のプロジェクトなど、さまざまな活動に参加可能。インプットだけでなくアウトプットの場としても活用することで、新たな知見や人とのつながり、さらなる成長の機会が広がるという。
今後の展望
Tableauは、Salesforceの一員として、日本市場におけるAIとデータ活用の加速に取り組んでいる。今回の発表に際し、日本国内の主要パートナーとの連携を強化し、導入から運用まで顧客をさらに強力に支援していく構えであることを発表した。
今後は、NTTデータ、NEC、リバネスナレッジをはじめとする国内SIerと協力し、「Tableau Next」の導入支援体制の構築、具体的なユースケースの開発、業界別のテンプレート提供などを通じて、より実践的かつ効果的なデータ活用を推進していきたい構え。