Sansanは5月26日、オンラインとオフラインのハイブリッドで記者説明会を開き、営業DXサービス「Sansan」において「デジタル名刺ソリューション」の提供開始を発表した。

「パラダイムシフトのソリューション」 - 寺田社長

約5年ぶりに記者発表のプレゼンテーションの場に登壇した、Sansan 代表取締役社長 CEO CPOの寺田親弘氏は「Sansanは当社のミッションを体現する基幹のサービス。今回、発表するソリューションはパラダイムシフトとも言えるソリューションだ。コロナ禍を経て、対面で会うことの価値が相対的に上がっている」と述べた。

  • Sansan 代表取締役社長 CEO CPOの寺田親弘氏

    Sansan 代表取締役社長 CEO CPOの寺田親弘氏

そのため、新ソリューションはこれまでの業務フローを変えることなく、相手の手元に名刺情報を残せる仕組みを構築することで、ビジネスにおける機会損失を防ぐとともに、出会いが成果につながる環境づくりを後押しするという。

受け取った名刺を活用できる状態で管理していない割合は半数

営業活動において商談時に交換する名刺は、企業のビジネスを拡大するうえで重要な役割を担っているが、名刺はいまだに紙が主流で名刺忘れや名刺切れ、交換後の管理の煩雑さなど、渡す側・受け取る側の双方にとって課題が残っている。

同社の調査では、名刺を受け取る機会が特に多い買い手の約6割が受け取った名刺を「すぐに使える状態で管理できていない」と回答し、渡した名刺の半数が活用されていない実態が浮き彫りになっている。

  • 名刺をすぐに使える状態で管理できていない割合は6割近くにのぼる

    名刺をすぐに使える状態で管理できていない割合は6割近くにのぼる

このような状況において、社外の連絡先をどのように探すかアンケート調査したところ、約7割が「メールボックス」と回答しているものの、名刺を渡す機会が多い営業担当者への調査では日常的にフォローメールを送る人は4人に1人にとどまり、相手の元には「名刺もない」「メールもない」という状態が生まれていることが明らかになったという。

名刺交換から半年以上経過した後に、再びビジネスに発展するケースも多い中で名刺交換した相手が連絡を取ろうとしても、連絡先にたどりつけないという機会損失が発生している。

企業の営業活動をさらに後押しする新ソリューション

こうした課題を解決し、社員が渡す名刺の価値を最大化することで機会損失を防ぎ、企業の収益最大化を後押しするため今回の新ソリューションを開発。Sansan 執行役員 Sansan事業部 事業部長の小川泰正氏は「相手から受け取った名刺を軸にサービスを展開してきたが、自分たちが渡す名刺にも視野を広げることで、企業の営業活動をさらに後押しできるのではないかと考えた」と話す。

  • Sansan 執行役員 Sansan事業部 事業部長の小川泰正氏

    Sansan 執行役員 Sansan事業部 事業部長の小川泰正氏

新ソリューションは、デジタルデータで作成された名刺を相手に確実に届けるものとなり、受け取った紙の名刺をSansanに登録するだけで、相手にデジタル名刺が自動送付される「デジタル名刺メール」と、紙もデジタル名刺もSansan上で作成・管理できる「デジタル名刺メーカー」を搭載。

  • 「デジタル名刺ソリューション」の概要

    「デジタル名刺ソリューション」の概要

デジタル名刺メールは、名刺交換で受け取った紙の名刺をSansanでスキャンするだけで、相手にデジタル名刺を自動送付できる機能。受け取った名刺をスキャンし、Sansanがデータ化した翌日に、相手のメールアドレス宛に自分のデジタル名刺が自動で送信される。

  • デジタル名刺メールの概要

    デジタル名刺メールの概要

また、企業名や氏名、連絡先といった紙名刺と同様の情報が掲載されており、メールマガジンのように情報量が多すぎることもなく、受信者にとって負担が少ないため、削除されるリスクを軽減している。

受け取った相手は、デジタル名刺メール上の「メールで連絡する」というボタンを押すだけで返信できるため、紙の名刺を見ながらメールアドレスを手入力する必要もなくなり、打ち間違えといった負担を軽減するという。

  • デジタル名刺メールを配信する仕組み

    デジタル名刺メールを配信する仕組み

デジタル名刺ソリューションで新しい市場・価値を再創出

一方、デジタル名刺メーカーは社員一人ひとりに対して、常に最新のデジタル名刺を作成・支給できる機能。自社の名刺デザインテンプレートをSansanに登録し、氏名・肩書き・連絡先といった情報を入力するだけで、名刺データが作成される。

作成した名刺データは、デジタル名刺として活用できるほか、紙の名刺として印刷発注も可能。情報の登録や更新は管理画面で手入力できるほか、CSVで一括登録も可能なため、組織変更や役職変更といった情報の更新も容易に行えるとのこと。

  • デジタル名刺メールを配信する仕組み

    デジタル名刺メールを配信する仕組み

これにより、すべての名刺情報をSansan上で一元管理できるようになるため、管理・発注の手間が増えることなく、紙とデジタル名刺の双方を活用することが可能としているほか、生成されたデジタル名刺はSansanのスマートフォンアプリからQRコードでも表示できる。

名刺交換の場で読み取ってもらうことで、相手のSansanや、スマートフォンの電話帳に直接連絡先を登録してもらうことも可能としている。なお、現状で50社の導入が決定している。

小川氏は「名刺を渡す新たなスタイルとして価値を提供していく」と述べ、また寺田氏は「デジタル名刺ソリューションで新しい市場・価値を再創出していく」と展望を語っていた。