日本製鉄は5月21日~23日の3日間、パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」に自動車部品を出展。カーボンニュートラル社会の実現に貢献する「電動化」「部品一体化」「軽量化・CO2削減」の取り組みを広く紹介した。以下、同社のブースの様子を紹介しよう。
ブースの展示内容は?
自動車技術会の主催による「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」は、技術者・研究者のための自動車技術の専門展。今年も500社あまりの企業が出展した。
たくさんの来場者で賑わっていたのが、Zn-Al-Mg合金めっき鋼板を適用した「鋼製バッテリーボックス上蓋」の展示。
同製品は耐食性に優れているだけでなく、化成・電着塗装工程の省略によりコスト削減・CO2削減にも貢献している。発火温度の低い電着塗装を省略したこと(融点の高い鋼板を使用したこと)により、発火に対する安全性も高めた。
「クルマは電動化すると重くなってしまう。しかし自動車メーカーとしては、できる限り荷重を避けたい」という課題に対し、日本製鉄は硬さに優れた特殊な鉄材を使用した「小型高強度デフギヤ」で軽量化に貢献する。
発火を防ぐLi-ion電池用の鉄製外装缶
Li-ion電池用の鉄製外装缶も展示されていた。同製品はバッテリーケースに鉄を使用することで発火を防ぐという。
担当者は「私たちとしては、いかに軽量化、コストダウンに資する自動車部品を提供できるかを常に考えています」と話していた。自動車メーカー、部品メーカーの協力も得ながら、新たな部品、新たなソリューションの開発を進めているという。
鉄による「部品一体化」も、そうした取り組みの一つ。冷間プレスによる自動車骨格部品の一体化、成形技術を用いた「一体化リアサイドメンバー」「リング状フロントピラー」「フロントピラー&サイドシル」は、クライアントの工場における工数削減にも貢献する。
「軽量化・CO2削減」にも貢献
同社は「軽量化・CO2削減」にも注力している。手で触ることのできる展示品として紹介されていたのは(二輪車用の)チタンを使用した燃料タンク。実際に持ち上げて比較してみたが、なるほど樹脂製の燃料タンクはずっしりと重く、一方でチタン製は非常に軽量だった。
変わったところでは、チタンの発色の良さを生かした製品も提案している。高耐食性、高意匠性を有する「塗装レス鋼板」は、環境に優しい外板パネル(ドア)。ただ担当者によれば「商品化までは、もう少し時間がかかりそう」とのことだった。
今後の日本製鉄の取り組み
同社は2021年3月の中長期経営計画において、気候変動問題への取り組みを経営の最重要課題と位置付け、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」を公表している。
今後も「社会全体のCO2排出量削減に寄与する高機能鋼材とソリューションの提供」と「鉄鋼製造プロセスの脱炭素化によるカーボンニュートラルスチールの提供」という2つの価値を提供することで、サプライチェーンでのCO2削減の実現を目指していく考えだ。