Google Chromeチームはこのほど、「How we’re using AI to combat the latest scams」において、Chromeに搭載しているGoogleセーフブラウジングの保護強化機能をさらに強化したと発表した。デスクトップ版のオンデバイス型大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)の「Gemini Nano」を導入することで、オンライン詐欺に対する防御層がパワーアップしたという。

  • How we’re using AI to combat the latest scams

    How we’re using AI to combat the latest scams

Googleセーフブラウジングの保護強化を強化

Chromeには標準でGoogleセーフブラウジングの保護強化機能が搭載されている(参考:「Google、Chromeの保護強化 - 10億人をオンライン脅威から守る | TECH+(テックプラス)」)。高度なAIと機械学習モデルを活用することで、フィッシング詐欺やソーシャルエンジニアリングなど、詐欺に関係する危険なWebサイトを検出する追加の保護を提供する。

今回この機能にGemini Nanoを活用した保護層を追加。Webサイトの多様で複雑な性質を理解し、新しい手口への迅速な対応を可能にする。その大まかな仕組みは次のとおり(参考:「Google Online Security Blog: Using AI to stop tech support scams in Chrome」)。

  • デバイス上のGemini Nano LLMを使用してWebページを評価。ページの意図など、セキュリティシグナルを抽出する
  • LLMの出力、Webサイトの情報、メタデータから詐欺の可能性を評価
  • 詐欺の可能性が高いと判定した場合、警告インタースティシャル(大きな警告画面)を表示する
  • 新しい保護強化機能の動作概念図 - 引用:Google

    新しい保護強化機能の動作概念図 引用:Google

Chrome 137からサポート

新しい保護強化機能は5月21日にリリースを予定しているChrome 137からサポートされる。現在の検出対象はテクニカルサポート詐欺に限られるようだが、将来的には荷物追跡詐欺や通話料未払い詐欺など、他の一般的な詐欺にも拡大していく予定としている。

Googleは現在、コンテンツインジェクションやタイミングバイパスなどの潜在的な脅威について、研究機関と共同で対策の検討を進めているという。より多くのユーザーを詐欺の脅威から守るため、今後もセキュリティ強化に努める方針とみられる。