
米国のトランプ大統領が進める関税政策に各国が注目している。日本政府は、コメをはじめとする農産物も主な対象になるとみて、対応を急いでいる。
2024年の農林水産物・食品の輸出額は前年比3.6%増の1兆5071億円で、12年続けて過去最高となった。
国・地域別でみると、日本産水産物の輸入停止が続く中国が29.1%減の1681億円で前年の首位から4位に転落する一方、米国は17.8%増の2429億円で20年ぶりに首位に返り咲いた。中国向けが多かったホタテの代替地として輸出が伸びた他、牛肉や日本酒は根強い人気を誇っている。
農林水産省は関税交渉に備えて対策チームを立ち上げ、輸出品目団体や生産者、食品事業者などから聞き取り調査を進めている。江藤拓農水相は、4月4日の閣議後の記者会見で「生産現場だけではなくて、食品産業全体にわたって情報収集をし、資金繰りも含めてどのような対応が可能か、早急に検討を進めていきたい」と語った。
トランプ政権は、「日本は米国産のコメに700%もの関税を課している」と繰り返し批判している。ただ、日本はコメの輸入に関して「ミニマムアクセス」という仕組みで無関税の輸入枠を設け、半ば義務的に輸入している。現在は年77万トンだが、この枠外で民間企業がコメを輸入する場合は1キログラムあたり341円の関税を課している。日本が米国から輸入する主食用米の関税率は、200%超だとする試算もある。
トランプ政権が主張を撤回しないのは、過去に農水省が世界貿易機関(WTO)の貿易自由化の交渉の際、当時のコメ相場などに基づいて「778%」と税率換算していたことが背景にある。日本は米国との意思疎通を図りたい考えだが、タフな交渉となりそうだ。