2025年4月17日(現地時間)、MozillaのCEOであるLaura Chambers氏は、「Mozilla’s CEO weighs in on U.S. v. Google」において、米司法省による米Googleに対する独占禁止法訴訟に関する見解を表明した。同氏は、この裁判において提案されている是正措置が、FirefoxブラウザとGeckoブラウザエンジンの将来に悪影響を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らしている。

  • Mozilla’s CEO weighs in on U.S. v. Google

    Mozilla’s CEO weighs in on U.S. v. Google

是正措置が別の問題を生み出す可能性があると主張

米Googleは現在、同社が検索事業において競合他社を不当に競争から排除しており、反トラスト法(独占禁止法)に違反する行為であるとして米司法省から訴えられている。すでに2024年8月にGoogleは一審で敗訴しており、2025年4月21日からは是正措置に関する審理が開始される。Chambers氏は、この審理の結果が、GoogleだけでなくFirefoxや他の独立系ブラウザに大きな影響を与える可能性があると指摘。

米司法省がGoogleに対して要求している是正措置の一つは、Chrome事業を同社のビジネスから切り離して他社に売却するというもの。Googleはこの是正案に反対を表明したものの、司法省は38州の司法長官の連名で引き続きChrome事業の売却を求めている(関連記事:米司法省、継続してGoogleに「Chrome」事業の売却求める改訂案 | TECH+(テックプラス))。

Chambers氏の懸念は是正案だけを指しているわけではないが、この売却案が主要な対象であることは間違いないだろう。Mozillaのような独立系ブラウザベンダーとしては、GoogleによるChrome事業の売却は、新しい巨大な競合企業を増やすことを意味する。

さらに、Chambers氏はMozillaのような小規模の独立系企業が市場に対して果たしてきた役割の大きさを強調し、検索エンジンの競争を促進するための措置が、WebブラウザやWebブラウザエンジンの競争を犠牲にするべきではないと主張。それは新しい別の問題を生み出すことに他ならないからだ。この訴訟の結果がインターネットの将来に関わる極めて重要なものであるとして、「Firefoxをはじめとする独立系Webブラウザの競争促進の役割を損なうことなく、検索市場の競争を改善できる対策に焦点が移ることを期待している」と同氏は述べている。

なお米Googleは、広告事業を巡る独占禁止法裁判においても、2025年4月17日に一審敗訴の判決を受けている。また日本では、同4月15日にAndroidを巡る独禁法違反によって公正取引委員会から排除措置命令を受けた(関連記事:Googleに排除措置命令、公取委がAndroidを巡る独禁法違反を認定 | TECH+(テックプラス))。Googleにとっては逆風が吹いている。