NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、NTTドコモ、May Mobilityは4月17日、5G SA(Standalone)における通信安定化技術である「ネットワークスライシング」、およびモバイル通信におけるパケット優先制御機能を備えた5Gワイドを活用した実証実験に成功したことを発表した。

実証の背景

自動運転レベル4(ドライバーに代わりシステムが車両を運転)の無人走行では、自動運転車両の映像や音声、位置情報などを使ったリアルタイムな遠隔管制が必要となる。しかし都市部や観光地などの混雑したエリアでは通信が不安定になる場合もあり、課題が残される。

NTT Comはこれまで、法人向け5G総合コンサルティングサービス「docomo business プライベート5G」など、混雑したエリアや時間帯においても安定したモバイル通信を実現するサービスを展開してきた。実証ではこれらのサービスに加えて、さらなる通信安定化技術であるスライシングを組み合わせ、複数サービスによる面的なモバイル通信の安定化を目指した。

実証の概要と検証内容

実証ではNTTドコモとMay Mobilityが愛知県の2024年度自動運転事業で運行した名古屋駅前~鶴舞公園区間において、車載カメラから監視センターへ伝送される映像品質の検証およびモバイルネットワークにおける上り(Uplink)スループット値を確認した。

  • 実証の走行ルート

    実証の走行ルート

  • 実証実験の構成

    実証実験の構成

スライシングと5Gワイドを活用した映像品質の検証では、May Mobilityの自動運転車両に設置した車載カメラからの映像を、スライシングと5Gワイドを複合的に利用して実証の監視センター(東京)に伝送。上りスループット値の安定化により、混雑環境においても現地状況を精細に確認できるレベルの映像品質が確保できたという。

また、自動運転のように移動しながら複数の無線基地局と通信を行うようなケースでは、混雑する場所や時間によってスループットにゆらぎが生じる場合がある。今回の実証では、発生するゆらぎを抑え、要求される上りスループット値を下限で維持出来るようにスライシングと5Gワイドを複合的に利用し、エリア全体で通信の安定化を実現した。その結果、目標とする上りスループット値を走行ルートの約96%で維持(一般回線は約73%)できたとのことだ。

  • スループットの比較

    スループットの比較