IBM Cloud上でIntelの最新AIアクセラレータの利用が可能に

日本IBMは、IntelのAIアクセラレータ「Intel Gaudi 3」がIBM Cloud上で利用可能になったことを発表した。

  • Intel Gaudi 3

    Intel Gaudi 3 (編集部撮影)

これにより、パブリッククラウドの本番環境のワークロード向けにGaudi 3が利用できるようになることから、IBMでは、企業がIBM Cloud上でエンタープライズAIをよりコスト効率よく導入および拡張できるよう支援することにつながると説明している。

2025年4月時点でIBM CloudにおけるGaudi AIアクセラレータはフランクフルト(eu-de)リージョンならびにワシントンD.C.(us-east)リージョンで利用可能な状態だが、2025年第2四半期には、ダラス(us-south)リージョンでも提供が開始される予定だという。

さまざまな提供形態を用意

具体的にはGaudi 3は、IBM Cloud Virtual Server for VPC(仮想プライベートクラウド)のクラウド・インスタンスを通じてデプロイ可能で、高い堅牢性とセキュリティを備え、パブリッククラウドの利点を損なうことなく隔離されたプライベートクラウドを構築できるIBM Cloud VPC環境においてGaudi 3を活用したスタンドアロン・サーバの提供が開始された。

また、Gaudi 3インスタンスは、Red Hat Enterprise Linux AIのイメージ・オプションにも対応しており、特定の目的や用途に向けて設計・最適化されたソフトウェア・スタックを利用する顧客や、基盤となるサーバの制御を強化したい顧客に最適だという。

さらに、マネージド型のコンテナ基盤を活用したい顧客向けに、2025年第2四半期より、Gaudi 3をRed Hat OpenShift AIクラスタおよびRed Hat OpenShift on IBM Cloudのワーカーノードとして提供を開始する予定ともしている。

加えて、2025年第2四半期以降となるが、インフラストラクチャからワークロードまで、AIスタック全体に対してより高い管理性を求める顧客には、IBM Cloud VPC上で稼働するGaudi 3ベースの仮想サーバに、AI開発に必要なツールキットとAIライフサイクル全体を管理できる機能を備えた、統合型のエンドツーエンドのAI開発スタジオである「IBM watsonx.ai」を導入することも可能になる予定ともしている。

このほか、IBM Cloudでは、新機能やシステム・アップデートを迅速に展開したい開発チームや運用チーム向けに、「デプロイ可能なアーキテクチャ(DA)」と呼ばれる設計モジュールを2025年下半期に提供される予定で、これによりユーザーは複数のDAを通じてGaudi 3の機能を迅速に活用できるようになるという。これら機能には、watsonxソフトウェア用のDA、IBM Cloud Virtual Server for VPC用のDA、Red Hat OpenShift on IBM Cloud用のDAが含まれるという。

なお、Intelのデータセンター向けAI戦略および製品管理担当バイス・プレジデントのソウラブ・カルカーニ(Saurabh Kulkarni)氏は今回の協業について、「Gaudi 3をIBM Cloud上で提供することで、推論やファインチューニングに最適化されたパフォーマンスを活かして、企業が生成AIワークロードを拡張できるよう支援していく。今回の協業は、より多くの企業がAIを利用しやすく、費用対効果の高いものにするという、両社の共通の取り組み姿勢を明確に示すものだ」と、その意義を説明している。