Space Compassは4月14日、マイクロソフトの協力により進めている合同プロジェクトで実施中の軌道上衛星実証において、AI技術を用いた船舶検知アプリを実装することにより98%以上の転送容量削減効果を実証したことを発表した。

今回の実証は、2019年12月にマイクロソフトと日本電信電話(NTT)の間で締結された、デジタルソリューションの実現に向けた戦略的提携の一環として実施したもの。観測衛星が撮像した画像データを軌道上で処理することにより、効率的かつリアルタイムな観測衛星データ活用を促進し社会課題の解決を目指す。

  • 軌道上処理による伝送容量の削減イメージ

    軌道上処理による伝送容量の削減イメージ

実証の概要

Space Compassはマイクロソフトと合同でCo-Engineeringチームを立ち上げ、「Azure Orbital Space SDK(Software Development Kit)」衛星内で動作するAIアプリケーションを開発した。

具体的には、SDKの機能を活用して、軌道上で動作するアプリケーションをPythonを用いて地上のAzure環境上で開発実装し、観測衛星上のコンピューティングリソースへ転送して検証を実施した。軌道上実証では観測衛星で撮像したデータを軌道上で即時分析処理する実証を3カ月間40回以上にわたって実施した。

実証の結果

今回の実証結果より、軌道上でのAI処理によって衛星画像から検知された船舶の情報のみを取り出し、不要なデータを削除することにより、一定の条件では地上へ転送が必要なデータ容量を98%以上削減できることが確認された。

これらの成果は地球上の様子を空の目として捉えることのできる観測衛星データの効率的かつリアルタイムな活用を実現し、安全保障や自然災害対策といったさまざまな社会課題の解決に役立てることが期待される。