KDDIと沖縄セルラーは4月10日、説明会を開き、「Starlink(スターリンク)」衛星とauスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」の提供を開始することを発表した。

本稿執筆時点で、同サービスはiPhoneやGalaxy、Xperiaなど50機種以上に対応。利用に際して新規の申し込みは不要で、当面は無料で利用可能。空が見える状況であれば、キャリア通信の圏外エリアでもテキストメッセージの送受信や、緊急地震速報などの受信、現在地の位置情報共有が行える。Android端末においてはAIアシスタント「Gemini」を利用可能だ。

  • KDDIは「au Starlink Direct」の提供開始を発表した

    KDDIは「au Starlink Direct」の提供開始を発表した

衛星とスマホの直接通信を実現、日本全国をカバー

auの人口カバー率は99.9%を超えているが、島しょ部や山間部など日本特有の地形のために面積カバー率は約60%にとどまる。「au Starlink Direct」の提供により残り40%をカバーすることで、キャンプ場や海上などでも通信の利用が可能となる。

同サービスはKDDIと米SpaceX(スペースX)とのパートナーシップによって実現した。地上約340キロメートルの低軌道を周回するStarlink衛星とauスマートフォンが直接通信することで、auモバイルネットワークにつながる。スマートフォンとの直接通信用の衛星コンステレーションは、本稿執筆時点で約600機が打ち上っているそうだ。

  • 衛星との直接通信の仕組み

    衛星との直接通信の仕組み

同サービスの提供開始に際し、SpaceXのPresidento&COOであるGwynne Shotwell氏は以下のようにビデオメッセージを寄せた。

「世界に先駆けアジアで初となる、衛星とスマホの直接通信をKDDIによって日本で実現できることを大変うれしく思います。Starlinkの直接通信は技術革新の最たるゲームチェンジャーです。日本のどこにいても、つながらないがなくなるように、災害時や緊急時に命を救う可能性を持つ、新たな価値をもたらします。これからも松田さんとKDDIの皆さんと共に、日本の人々のために戦略的なビジョンを達成することを楽しみにしています」

  • SpaceX Presidento&COO Gwynne Shotwell氏

    SpaceX Presidento&COO Gwynne Shotwell氏

対応機種は50以上、今夏以降はデータ通信も利用可能に

新サービスの提供が発表された4月10日現在、対応機種は2022年以降に発売された主要なGalaxyシリーズおよびiPhone、2023年以降発売のXperiaなど、計50機種以上。その他、Google Pixel9、AQUOS、Xiaomiなども対応する。

  • 対応機種

auユーザー(個人・法人m)は申し込み不要で、エリア圏外で「au Starlink Direct」接続中は端末右上部のアンテナピクトに衛星のアイコンが表示される。当面は無料で利用可能とのことだ。au以外のUQ mobileやpovoなどのサブブランドについては検討中。

  • 衛星アイコン

    衛星アイコン

4月10日現在利用可能なサービスは、SMS / RCS / iMessageによるテキストメッセージ送受信、テキストメッセージアプリを経由した現在地情報の共有、緊急地震速報 / 津波警報 / Jアラートの受信。AndroidのみGeminiを用いた調べものなどもできる。KDDIはデータ通信も夏以降に対応予定としている。

  • 衛星通信を介したGemini利用のデモ

    衛星通信を介したGemini利用のデモ