日本青年会議所は4月7日、東京学芸大学、カナメプロジェクト、フリースクール全国ネットワーク、ベネッセ教育総合研究所との協働で、子どもの個別最適な学びについて実証試験を行うスタートアップチームを立ち上げたことを発表した。
スタートアップチームの立ち上げに伴い発表会が開催され、日本初の子どもへの関わり方として開発しているプログラムの具体的な内容や、今後の展開について紹介された。
発表会には、東京学芸大学 教授 金子嘉宏氏、カナメプロジェクト 取締役CEO 遠藤太一郎氏、フリースクール全国ネットワーク 代表理事 中村尊氏、ベネッセ教育総合研究所 主任研究員 岡部悟志氏、日本青年会議所 会頭 外口真大氏、日本青年会議所 新教育システム創造会議 議長 宮坂宥憲氏が登壇した。
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左から日本青年会議所 新教育システム創造会議 議長 宮坂宥憲氏、カナメプロジェクト 取締役CEO 遠藤太一郎氏、東京学芸大学 教授 金子嘉宏氏、日本青年会議所 会頭 外口真大氏、フリースクール全国ネットワーク 代表理事 中村尊氏、ベネッセ教育総合研究所 主任研究員 岡部悟志氏
新たな教育プログラム「Positive Learning Program(PLP)」
今回発表されたのは、子どもたち一人ひとりの個性や才能を最大限に引き出すことを目的に、生成AIを使ったツールの活用と地域の企業を巻き込んだ新たな教育プログラム「Positive Learning Program(PLP)」。
PLPは、「生成AI×地域社会」による教育プログラムで、子どもの学びをサポートする伴走者支援のツール。子どもたちとの対話を通じて、それぞれの興味関心を引き出す取り組みとして、録音した対話をAIがレポートとしてフィードバックしてくれる。
今回の取り組みを通じて民間人材を「価値創造的探求学習コーチ」として教育参画を進め、社会に開かれた教育課程を持続可能な形で実現していくという。
価値創造的探求学習コーチの役割は、「社会に開かれた教育課程」を持続可能な形で実現する一助となれるように、探究・STEAM教育を行う教員の支援者として、あるいは教育課程外活動の指導者として社会に対する児童生徒の興味関心を喚起し、社会に求められる資質・能力を育む学びに伴走すること。
PLPを通じて、「伴走者の児童生徒の学習状況の見取り支援」と「伴走者のコーチング評価とサジェスチョン」について、児童生徒の状況把握とコーチング力を向上させるAIを準備していく。
具体的なフローとしては、音声データに基づいた子どもとの対話から興味関心のあるテーマを引き出し、子どもと伴走者で探求していくテーマとゴールを設定。その分野について「なぜ興味関心を持ったのか?」を壁打ちして深掘りしていく。
そしてテーマに沿って、地域企業と共に実際に体験や訪問を実施。体験やふれあいを通じた新たな気付きの振り返りを行い、気付きから得た知識などをもとにゴールに向けてさらなる深掘りを行っていく。
期待される効果について宮坂氏は、「地域社会が子どもの学びに関わるきっかけを創出」「子ども主体(子どもまんなか)の子どもが生きやすい社会の実現」「学びの多様化の促進/学びで苦しむ子どもの減少」「フリースクールの支援強化・理解促進」「生成AIの新たな活用方法の提案」「競争社会から共存社会への移行促進」の6点を挙げた。
取り組みを通じて子どもの「自己肯定感」を高める
その中でPLPスタートアップチームは、東京学芸大学 教授 金子嘉宏氏、カナメプロジェクト 取締役CEO 遠藤太一郎氏、フリースクール全国ネットワーク 代表理事 中村尊氏、ベネッセ教育総合研究所 主任研究員 岡部悟志氏、日本青年会議所 新教育システム創造会議 議長 宮坂宥憲氏で構成される。
同組織では「新教育システムの構築と実施」や「地域企業・行政などが子どもの学びに関わる仕組みのきっかけ作り」を目的に設立されたチームで、好事例や課題を検証し、文部科学省へ提言して活用されていくことを目指していく。
活動内容としては、会議体の運動推進のフィードバックや課題解決に向けた協議を実施する。それに加えて、活動を普及していくための広報活動や提案を行政、教育機関に促進していく。
最後にベネッセ教育総合研究所の岡部氏は、以下のように取り組みへの期待を寄せた。
「私が期待していることは『誰もが自分に適した学びにアクセスできる』ということ。そして『やがて育まれていく子どもたちの学びや生きていく姿勢』についてです。伴走者の方の支援によって、さまざまな成功体験を通じて自らを振り返ることで、子どもたちの自己肯定感を向上させることができるのではないかと考えています」