リコーは4月1日、本社(東京都 大田区)で入社式を開催し、119人の新入社員を迎えた。同社は新型コロナウイルスの5類移行を受けて、集合形式での式典を開催。コロナ禍で始まった経営層との1 on 1パートを残しつつも、集合形式で対面ならではのコミュニケーション充足も図った。
同期の団結力を高めるリアル開催の入社式に
リコーが2025年度入社式のコンセプトに定めたのは「UNITE」。同期との一体感を感じられるよう企画したという。新入社員が会社に到着すると、まずは先輩社員とリコーブラックラムズ東京のマスコットキャラクター「ラムまる」がウェルカムロードを作ってお出迎え。拍手に包まれて会場まで歩く姿は、少し恥ずかしそうでありながらも誇らしげだった。
受付で配布される式次第は、同社のプリンティング技術を使って印刷したもの。一人一人の名前も入っているので、思い出に残る資料となるだろう。
会場ではリコーフィルハーモニーオーケストラによる、バッハ作曲『主よ、人の望みの喜びよ』など素晴らしい演奏が響いていた。ちなみに、オーケストラのメンバーはリコー社員で構成されており、部活のような楽団とのことだ。楽団に所属する若手社員も多く、希望者は楽器経験の有無にかかわらず新入社員でも加入できる。
また、リコー新入社員の中には、これからブラックラムズのメンバーとして活躍する社員が4人いる。一緒に新卒研修を受けた後は、日々の業務と並行してラグビーの練習にも取り組むそうだ。
余談ではあるが、ラグビーはポジションや役割によって体の大きな選手から小さな選手まで、誰もが活躍する機会があることから、「多様性のスポーツ」などと呼ばれることがある。これから年齢や国籍、価値観の異なる人と接することになるであろう新入社員にとっても、良い機会となったのではないだろうか。まさに入社式の「UNITE」のテーマに沿った場面だったように思う。
また、会場の一角には、新入社員同士で記念撮影できるブースも設置されていた。
大山晃社長から新入社員へのメッセージ
入社式において、代表取締役 社長執行役員の大山晃氏は、以下のようにメッセージを送った。
「私たちを取り巻く社会や経済、技術は大きく変化しています。こうした時代においては、なおさら皆さんが持つ視点や感性、価値観が私たちの未来を築く大きな力になります。皆さんと一緒に当社の明るい未来を築いていきたいです。今日はリコーグループが大切にしている2つのことをお話します」
「まずはリコー創業の精神である『三愛精神』です。創業者の市村清が、人を愛し、国を愛し、勤めを愛す、という三愛の精神を提唱しました。今でも、私たちがさまざまな判断をするときの原点として、経営理念に受け継がれています」
「『人を愛す』とは、リコーに関わる全ての人の幸福を考えることです。社員やお客様、パートナー企業、株主、事業所周囲の地域の方もです。リコーを支えてくれる方々と共に幸福になることを目指すべきです。『国を愛す』とは、自分たちが属する社会を愛するということです。今の時代では"地球を愛する"と解釈しても良いと思います。『勤めを愛す』とは、熱意を責任感を持って主体的に仕事に取り組むことで、充実感や達成感を得るということです。勤めを愛することこそが『"はたらく"歓び』につながります」
「当社が大切にしている2つ目は、『お客様の"はたらく"に寄り添い続ける』ことです。これは、お客様に貢献し続けるという決意表明であり、当社の進化を支える基本動作でもあります。お客様の働き方が多様化する中で、はたらくに寄り添い続ける当社は、お客様へのお役立ちの手段を変化させてきました。今はデジタルテクノロジーを使ったサービスを強化しています」
「皆さんがリコーにいる間にも、お客様の働き方は常に変化し続け、お客様への役立ち方も変化すると思います。ぜひ、新しい感性を持った皆さんにリコーの先頭に立っていただき、お客様が『"はたらく"歓び』を感じられるお手伝いをしていただきたいと思います」
大山社長からのメッセージを受け取った新入社員の中から、代表して秋葉於里音さんが以下のように抱負を述べた。
「本日からリコー社員として社会人のスタートラインに立てることを嬉しく思います。同時に、新社会人としての責任を感じて身の引き締まる思いです。私はコロナ禍を経験し、場所や環境にとらわれない学習や就労を支援するデジタルサービスに興味を持ちました。リコーがOAメーカーからデジタルサービスの企業へと変化する中で、『"はたらく"に歓びを』の企業理念の下で新たな価値を提供している姿勢に好感を持ちました」
「また、インターンシップで出会った先輩の温かい雰囲気や、自立して主体的に勤務している姿に心を引かれ、入社を決意しました。私は今日からリコーの一員としてはたらくことができる歓びに満ち溢れています。新入社員一同、今日の新鮮な気持ちを忘れることなく日々の努力を積み重ねていきます」
大山晃社長、山下良則会長と1 on 1で対話
リコー入社式においてユニークな取り組みの一つが、コロナ禍で始まった経営トップとの1 on 1だ。当時、感染拡大の影響を受けてオンラインでの入社式に切り替える企業が増える中、同社はむしろ「個別入社式」の充実へと舵を切った。
入社式の途中、新入社員は順に大山晃社長もしくは山下良則会長と対話する場面がある。ここでは、入社後の抱負などを直接経営者に届ける貴重な時間となる。中には、社長 / 会長側から新入社員の出身大学や趣味について質問する場面も見られた。
1 on 1で新入社員との対話を終えた大山氏は「皆さん非常に前向きだった。これから、委縮することなく自ら道を開いてキャリアを形成してほしい」と語っていた。
また、山下氏は「若い力を発揮して、デジタルサービスの会社に変わろうとするリコーの中でリーダーシップを取れるようになってほしい。変化の中とは言ってもプリンティング事業を捨てるわけではないので、既存事業を発展させながらリコーそのものを成長させてくれるよう期待している」と当誌にコメントした。