このほど、Snowflakeの創業者であるBenoit Dageville氏とThierry Cruanes氏が来日し、AI時代のデータ戦略をテーマに説明会を開催した。

Dageville氏はSnowflakeを立ち上げた背景について、次のように語った。

「Metaのような会社はデータを一元化できていたから活用できていた。小さな企業もGoogleのようにデータのパワーを活用するには、データの民主化が重要と考えた。そこで、管理がシンプルなデータサービスを提供しようと思った。クラウドの力をつかってリーズナブルな価格でデータサービスを提供することで、あらゆる企業がGoogleのようにデータを使って、Googleのようになれる」

両氏はクラウドを活用してデータサービスを提供するため、コンピュートとストレージを分割した、特化したアーキテクチャが必要と考えたという。「ペタバイト規模のデータセットをサブセカンドで超高速化し、データを作れるようにすることに取り組んだ」とDageville氏。こうして作られたデータプラットフォームが「Snowflake」となる。

  • Snowflake 創業者Benoit Dageville氏

SnowflakeのAI戦略がもたらすメリットとは

続いて、SnowflakeのAI戦略とそれがもたらすビジネスのメリットについての説明が行われた。

Dageville氏は「AIを使うことでさまざまなデータを理解でき、データをフル活用することが重要。これまで半構造化データはアナリティクスに使えないと思われていたが、AIの進化により、非構造データ、半構造データ、構造データをまとめて扱えるようになった」と述べた。

また、「AIの活用においてはガバナンスがきいた環境が大切。そこで、Snowflakeのガバナンスがきいた環境でLLMの利用を実現した。今、SnowflakeではメジャーなLLMを運用できる」とDageville氏は語った。

Dageville氏はAIを使うレベルを3つに分けて説明した。レベル0は「ガバナンスを効かせた環境でモデルを使える状態」だ。レベル1は「データの意味を抽出できる状態」、レベル2は「必要な意味を理解できる状態」だ。

「Snowflakeはデータを構造化して任意の言語に変換できる。そのため、コールセンターなどの勘定にまつわるデータを理解できる。LLMとSnowflake Cortex for Generative AIでサマリーを作り、感情を理解することが可能」(Dageville氏)

Dageville氏は、「企業では一部の社員しかデータを使えず、ほとんどの社員がデータを使えない。しかし、AIを活用すれば、誰もがデータを使えるようになり、すべての企業がGoogleのようになれる」とも語っていた。

Snowflakeが考えるデータエージェントとは

AIの利用が進み、最近は、自律的にタスクを遂行する「AIエージェント」に対する関心が高まっている。両氏はSnowflakeの「データエージェント」に対するアプローチについて説明した。

Dageville氏は、データエージェントは「質問に関連性が高いデータを特定できる。Salesforceなどの業務システムともやり取りして裏側で複雑なワークフローのインタラクションを処理できる。インタラクションを介して答えとなるデータを自然言語で提供する、これは大事なこと」と述べた。

一方、Cruanes氏は「データエージェントはなぜ重要か。われわれはいろいろなサービスを提供しており、ワークフローのオーケストレーションが求められる。Snowflakeでは、データエージェントはすでにサービスとして認識されている」と語った。

  • Snowflake 共同創業者 Thierry Cruanes氏

アプリで進化するSnowflake

両氏はSnowflakeの今後の進化にも言及した。Dageville氏は、「Snowflakeはパブリッククラウドとは異なる形で設計されている。Amazon Web Services、Google Cloud、Microsoft Azureという3つのクラウドの上に構築している。クラウドにおいては、AIとデータが重要」と述べた。

また、Dageville氏はSnowflakeを活用したアプリケーション間のデータの共有について、以下のように説明した。

「Snowflakeでは、ガバナンスとセキュリティを効かせることでコンテナ化を実現している。その際、データを外に出し、ロジックをSnowflake上で実行させることが重要。そして、アプリの構築以上にアプリをどうディストリビュートするかが大切。Snowflakeマーケットプレイスではさまざまなアプリが販売されている」

Dageville氏は、Snowflakeの将来については、「iPhoneの将来と同じ。AI、テクノロジーの高度化により、アプリがiPhoneをよりよいものにしている。Snowflakeのエコシステムが明日のSnowflakeを作る」と語った。

Cruanes氏は、「今後、AI以外にもテクノロジーの革命が起きるだろう。その時、プラットフォームやアーキテクチャは革命を吸収できるものでなくてはいけない。Snowflakeは革命を吸収できる存在になりたい」と述べた。