リコーは3月27日、日本設備工業の業務のデジタル化を支援し、3次元点群認識技術を活用した施工業務DX(デジタルトランスフォーメーション)の実証を開始することを発表した。リコーの3次元点群認識によるデジタルツインとAI技術を活用して、施工業務の一連の流れの効率化と自動化を目指す。

この両社の共創は、AI技術を活用したリコーの価値共創拠点「RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO」(RICOH BIL TOKYO)での活動を通じた成果だという。

実証の目的

将来的な労働人口減少などの社会課題に対応するため、生産性の向上や付加価値の高い働き方が求められている。建設業や設備業界においても、人手不足や長時間労働、次世代への技術承継などが課題とされる。

これらの課題解決にはAIの活用やDXの推進が不可欠となる。こうした課題について両社が「RICOH BIL TOKYO」において対話を重ねた結果、デジタルツインとAI技術を活用した業務DXに取り組み、その可能性の検証に至ったとのことだ。

実証での取り組み内容

両社はリコーの3次元点群処理技術を用いて、施工進捗の自動管理を目指す。従来、施工工事の日々の進捗は現場監督者が目視で判定していた。今回の実証では、設備工事の計画(完成BIMデータ)とRICOH THETA Xで撮影した現場の実績を3次元点群化し、デジタル仮想空間上に重ね合わせて表示する。リコーの画像認識技術を活用して計画と実績のデータ差分を検出することで、進捗判定を自動化する。

デジタルツイン上で位置合わせ・差分検出・物体認識を行い、進捗度合を算出することでその差分を可視化する。これにより進捗判定の自動化を実現し、業務負荷の軽減を目指すとのことだ。すでに一部施設で検証を開始しており、今後は対象範囲を拡大し検証を進める。

  • 実証実験の概要図

    実証実験の概要図