NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は3月25日、NTTドコモのキャリア通信に用いられる設備を活用して冗長性と高い保守性を低コストで実現する「ローカル5Gサービス TypeD」の申込受付を開始することを発表し、オンライン説明会を開催した。

サービス提供の背景

無線システムにおいては、高速かつ大容量な通信が可能な5G活用が期待される。特にローカル5Gはキャリア5Gと比較して、無線回線のひっ迫や干渉の影響を受けづらいといった通信の安定性が利点である。

しかし、設備構築の先行投資や保守・ライセンス費といったランニングコスト、無線免許取得に関連する煩雑な対応が障壁となっており、商用利用の遅れも指摘される。2020年度の制度化当初の予測に対し、3~4年の遅れが生じているとの試算もある。

  • ローカル5Gの市場動向

    ローカル5Gの市場動向

これに対しNTT Comは、市場規模は今後700億円以上に拡大していくと見込んでおり、2025年2月にNTTドコモが提供を開始した「ローカル5Gトータルサポート」を活用して、「ローカル5Gサービス TypeD」を提供する。

「ローカル5Gサービス TypeD」の特長

従来のローカル5Gサービスは無線設備の多くをユーザー拠点内に設置する必要があったが、同サービスではNTTドコモのキャリア通信設備を活用してローカル5Gネットワークを構築する。

  • 「ローカル5Gサービス TypeD」の概要図

    「ローカル5Gサービス TypeD」の概要図

交換機やCU(Central Unit:データ処理部)、DU(Distributed Unit:無線信号処理部)、UPF(U-planeデータ処理装置)などの設備はNTTドコモのキャリア通信設備と共用するため、キャリアレベルの冗長性を実現。また、無線周波数を冗長させたネットワーク構築も可能だという。ローカル5G設備の監視保守はNTTドコモの作業者がキャリア通信設備と合わせて実施するため、ユーザーが専門の人員を用意する必要がない。アンテナ1本の最小構成では月額50万円(税別)から提供可能。

  • キャリア5Gの設備を利用しコストを低減する

    キャリア5Gの設備を利用しコストを低減する

ユーザーが敷地内に設置する設備はRU(Radio Unit:無線装置)とアンテナのみで、従来と比較して設置スペースの9割程度削減も可能。ラックの設置や配線などの必要もないため、柔軟なエリア構築を支援する。

  • 省スペースでの利用が可能

    省スペースでの利用が可能

さらに、同サービスではNTT Comの「Arcstar Universal one(UNO)」や「Flexible Inter connect(FIC)」と組み合わせて提供し、ユーザーが保有するデータセンターへの接続に加えて各種クラウドサービスやインターネットへの接続まで同社がワンストップで実施可能とのことだ。

  • ネットワーク構築をワンストップで支援する

    ネットワーク構築をワンストップで支援する

「ローカル5Gサービス TypeD」の想定利用シーン

説明会では、同サービスの利用が想定されるシーンとして製造業、駅、放送(リモートプロダクション)が紹介された。

製造業

製造業においては、工場全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのネットワーク構築のシーンで利用可能だという。製造ライン向けの「ローカル5Gサービス TypeD」の導入に加えて、工場全体で5Gワイドも活用することで、業務用通信の安定化と同時に従業員のスマートフォンの安定利用も支援する。

これにより、休憩中の従業員のプライベートなスマートフォン利用もサポートし、従業員満足度向上などに寄与するという。同社はこのように、5G通信や固定回線を含めた工場全体の通信速度の向上と安定化をサポートするとのことだ。

  • 製造業での想定利用シーン

    製造業での想定利用シーン

駅での想定利用シーンは、ターミナル駅における駅員の情報伝達や異常検知、運行情報および車両情報のアップロードなど。同サービスを利用することで、混雑時においても安定した通信が期待できる。

  • 駅での想定利用シーン

    駅での想定利用シーン

放送(リモートプロダクション)

スタジアムや競技場においてローカル5Gを構築することで、混雑時などでも安定した映像伝送など大容量通信が可能となる。同社は映像配信や映像制作のスマート化など、メディアの大容量ニーズに対応するサービスを展開するとしている。

  • 放送での想定利用シーン

    放送での想定利用シーン