IT業界特化の営業人材を派遣するBCC社長・伊藤一彦「派遣した社員の人生も変えるビジネスモデルを他分野にも」

「 アパレル出身者の女性で、大手のIT企業に派遣された当社の正社員がIT企業に転職するケースもある。IT業界の営業の価値を高めたい」

 IT業界特化の営業人材を派遣している。システムエンジニアの派遣は珍しくないが、営業人材の派遣は稀だ。「エンジニアには基礎研修をはじめとしたスキルを高める研修があるが、営業は『先輩の背中を見て学べ』という世界が続いている」。新卒で入社したNEC時代に、そんな業界慣習に疑問を持った。

 現在約150人の営業人材がいるが、全員が正社員。しかも未経験者を自社で育てている。名刺の渡し方やメールの挨拶文から始まり、自社開発の教材を使いながら専門家による研修などを経て、ITの専門知識を習得させてから現場に送り出す。

「仕事が丁寧で細かな部分にまで目が届く女性が約7割を占める。中にはアパレルや飲食でアルバイトをしていた人もいる」。約2カ月の研修後は派遣先企業の名刺を持ち、同社の営業人材として新規顧客の開拓や派生商品の拡販に汗を流す。

 約30社の顧客がいるが、NECやインターネットイニシアティブといった大手企業が大半。「お客様の社員とチームで動くため、当社の社員にも知識やノウハウが蓄積される。その結果、毎年、お客様の企業から声をかけられて転職している」。自社の社員が減ることにつながるが、当人の人生は大きく変わる。

 もう1本の柱がヘルスケア。介護のレクリエーションに必要なデジタル素材の提供や介護レク代行サービスなども手掛ける。介護業界は人材不足でデジタル化による生産性向上が必須。

「システムやロボットの販売を当社の営業人材が手掛ける」

 もともと理科の教師を目指していたが、大学卒業後にベンチャー企業の経営者と出会って刺激を受ける。「こんな世界があるのか」と起業を目指し、上場まで漕ぎつけた。「環境などIT業界以外の業界も狙いたい」

 休日はマンガを読んで過ごすことが多い。「印象残った台詞は社員向けのメッセージの参考にしています」と笑う。

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