リコーと損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)は3月21日、損保ジャパンの保険業務に適したプライベートなマルチモーダルLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)の共同開発を開始したことを発表した。

この両社の共同開発は、経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する、国内における生成AIの開発力強化を目的としたプロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」において実施される。

共同開発の背景

リコーはGENIACにおいて、日本企業が活用できるLMMの開発を進めている。企業内に存在するテキストや図、表組み、画像などさまざまな形式のデータで構成されている文書や帳票の効率的な活用を支援し、イノベーション創出を後押しする。

損保ジャパンは保険業務に関する規定やマニュアル、Q&Aデータなどを学習させ、社内外からの照会内容に対して最適な回答案を自動生成するシステム「おしそんLLM」をトライアル運用中だ。

おしそんLLMの対象となる資料の中には複雑な図表が多く含まれる。日本の文書や帳票は独自のフォーマットであるものも多く、既存のLLMでは精度の高い回答が得られないケースがあるため、データを根拠とする回答生成の精度が課題となっている。

共同開発の内容と今後の予定

リコーと損保ジャパンは、損保ジャパンが保有する保険の引受規定が記載された図表などを含むマニュアルを学習させた、損保ジャパンの保険業務に適したプライベートLMMを共同で開発する。

両社は実際のデータとユースケースをベースにすることで、照会対応業務のさらなる時間削減を目指す。共同でモデルを開発した後には性能検証を実施予定。両社は今後は、対象とするデータやユースケースを広げつつ、モデルの発展について検討する。