Googleは3月18日(現地時間)、ニューヨークに本社を置くクラウドセキュリティプラットフォームを提供するWizを320億ドル(3月19日時点の日本円換算で4兆7876億円)で買収する最終契約を締結したことを発表した。取引完了後、WizはGoogle Cloudに加わる。

昨年7月には買収を拒否していた

今回の買収は、AI時代におけるクラウドセキュリティの向上と複数のクラウド(マルチクラウド)の利用能力の加速に向けたGoogle Cloudの投資となる。

サイバーセキュリティとクラウドコンピューティングは成長している産業であり、幅広いソリューションが存在している。AIの役割の増加とクラウドサービスの採用で顧客のセキュリティ状況は変化しており、サイバーセキュリティは新たなリスクに対抗し、国家安全保障を守るために重要になっているという。

Wizは、Cloud Native Application Protection Platform)を提供するイスラエルのベンチャー企業としてスタート。

主要なクラウドおよびコード環境に接続してサイバーセキュリティインシデントを防止する使いやすいセキュリティプラットフォームを提供している。スタートアップから大企業、政府機関、公共部門の組織まで、あらゆる規模の組織がWizを使用してクラウドで構築・運用するすべてを保護できるとのこと。

Google CloudはAI専門知識とセキュリティイノベーションの実績をWizに提供することで、Wizのソリューションを強化。Google CloudとWizの組み合わせにより、セキュリティの設計、運用、自動化を改善し、AI時代におけるあらゆる種類と規模の顧客に対して、エンドツーエンドのセキュリティプラットフォームを提供する。

また、自動化されたセキュリティプラットフォームを提供することで、サイバーセキュリティチームの規模を拡大することに加え、セキュリティコントロールの実装と管理にかかる顧客のコストを削減するという。

さらに、AIの進歩により発生する新たな脅威から保護するとともに侵害を防止し、組織が侵害に対してより効率的に対応できるよう支援。マルチクラウドセキュリティの採用を促進し、顧客が複数のクラウドを利用できる能力を向上させて、クラウドコンピューティングの革新と採用をさらに促進するとのことだ。

Wizの製品は、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Oracle Cloudのプラットフォームを含む主要なクラウド全体で引き続き利用が可能なほか、パートナーのセキュリティソリューションを通じて顧客に提供される。

GoogleによるWizの買収にあたっては、昨年7月に契約を締結するのではとの報道があったものの、Wiz共同創設者兼CEOのAssaf Rappaport氏は従業員向けのメモで「このような謙虚な申し出に“No”というのは簡単ではない」として、Googleの申し出を断ったことを伝えていたようだ。そして、次の目標としてPO(新規上場株)とARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)10億ドルを目指すとしていた。

Google CEOのSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)氏は次のようにコメントしている。

「Googleは創業当初から強力なセキュリティに注力しており、オンラインで人々を安全に保つリーダーとなっています。今日、クラウドで運用する企業や政府は、より強力なセキュリティソリューションとクラウドコンピューティングプロバイダーの選択肢を求めています。Google CloudとWizが協力することで、クラウドセキュリティの向上とマルチクラウドの利用能力が飛躍的に向上します」(ピチャイ氏)

また、Google Cloud CEOのThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏は「Google CloudとWizは、あらゆる規模や業界の組織に対して、サイバーセキュリティをよりアクセスしやすく、使いやすくするという共通のビジョンを持っています。非常に複雑なビジネスソフトウェア環境を含む多くの企業がサイバー攻撃を防止できるようにすることで、サイバーセキュリティインシデントによるコスト、混乱、手間を最小限に抑えることができます」と述べている。

一方、Wiz共同創設者兼CEOのAssaf Rappaport氏は「WizとGoogle Cloudは、主要なクラウド全体で顧客をサポートし、保護し続けることに完全にコミットしています。これは私たちの会社にとってエキサイティングな瞬間ですが、顧客とパートナーにとってはさらに重要な瞬間です。この買収により、追加のリソースと深いAI専門知識を提供することで、セキュリティの向上と侵害の防止という私たちの使命が強化されます」と強調している。