
マネージャーが変われば日本は復活できる!
わたしは現在、シンガポールを拠点に日系企業や現地企業の様々な経営支援を行っている。その中で日々感じるのは、世界は国際化からグローバル化、そして今、リージョン化の時代へと変わってきているということである。
自動車や家電など、良い商品をつくり、海外へ売っていく国際化の時代から、インターネットが発達し、グローバル化でヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源がボーダーレスに取引される時代になった。今はその次の時代へ移り、全世界共通のサービスではなく、地域ごとのローカル課題を解決することが求められるようになった。
例えば、自動車の開発は4~5年かかるが、ゴジェック(インドネシア)やグラブ(シンガポール)のサービスは毎週のようにスペックが変わり、この機能は必要ないから止めようとか、進出した地域がダメなら撤退しようとか、現場で細かい意思決定がなされている。
これだけ変化の激しい時代になると、経営者が現場で起きていることを全て把握して、策を実行していくことは現実的ではない。経営と現場の真ん中にいるのはマネージャーだ。今はマネージャーの力量がものすごく問われていると思う。
経営者というよりも、現場を知るマネージャーが小さいユニットで事業を構想し、実行していくことができないと、企業は生き残っていくことができなくなる。こういう背景から、今回、マネージャーに着目して本を書かせてもらった。
日本は現場力が強いと言われる。でも、それは自動車や家電のようにつくるものが明確に定まっていた上で実行していく現場力だ。今は答えのない時代。誰に、何を、どうやって提供するのかという個々の事業を現場で決めなければならない時代であり、そこは日本が強いとは決して言えない。
わたしは、マネージャーが変われば日本は復活できると信じている。この本が皆さんの意識改革を促す一助になれば幸いである。