生成AIの社内活用の浸透も進む昨今だが、世界最大級のガラスメーカーであり電子素材やセラミックスなど多様な分野で事業を展開するAGCは、同社の自社向け生成AI活用環境「ChatAGC」による効果結果を3月12日に発表した。
2023年6月に運用を開始した「ChatAGC」は、Azure OpenAI Serviceで構築され、2024年08月に社内データを連携するRAG(Retrieval-Augmented Generation/検索拡張生成)機能を導入(ニュースリリース)。権限設定された社内データと連携することで、部門ごとのユーザーに効率的な情報提供を実施している。社内向けメールマガジンや活用例を競うイベントなどを開催し、ChatAGC利用を促進してきたが、今回アンケートに基づき業務削減時間を算出し、定量的な効果測定を行っている。
2024年1月~12月の期間で業務時間11万時間以上の創出に相当する効果があったという。おもな業務として例示するものには、アイデア創出、文書要約、インサイト抽出、文章チェック、文章分類、文章生成、機械翻訳、コード生成、情報検索、など。社内で蓄積された営業情報や顧客ニーズなどを連携する使い方や複数部門・事業間での活用など8月に導入された社内データ連携による使い方の広がりが効果に拍車をかける。
社内データとの連携には権限設定など独自のポリシー設定の難しさが想定されるが、大規模な企業であればあるほど情報量とともにプロンプトの使い方や固有のメソッドの共有も広がる。同社では、一人あたりの時間創出を明言していないが、連結従業員数で5万人を超える同社グループの利用がさらに促進されると創出時間もさらに飛躍的に伸びそうだ。ナレッジマネジメントの強化など生産性の向上を超えた可能性も期待できる。